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野球

阪神、05年以来のVの予感!球史に残る大逆転劇の顛末は…

85年を彷彿とさせる一体感は本物か?

広島ファンにとっては“悪夢”以外の何物でもないでしょう。5月6日、甲子園での阪神戦で9対0から、まさかの大逆転負けを喫しました。連覇を狙う広島にとっては、単なる1敗以上のダメージがあったと思われます。

そこで古いデータを調べたところ、同じ甲子園での阪神戦で0対7から引っくり返された試合を見つけました。1985年5月22日のことです。

バースの一発で阪神打線が目を覚ます

1985年といえば、阪神にとっては輝かしい年です。ランディ・バース選手、掛布雅之選手、岡田彰布選手、真弓明信選手らの猛打により、21年ぶりのリーグ優勝、2リーグ分立後、初の日本一を達成しました。

前年の1984年、セ・リーグを制したのは広島でした。日本シリーズでは阪急を4勝3敗で下し、3度目の日本一に輝いています。連覇を狙う広島の前に立ちはだかったのが阪神でした。

5月22日の試合に戻りましょう。先発はサウスポーの川口和久投手でした。3回表が終わって7対0。誰もがシーズン初勝利を確信していました。

ところが、3回裏、バース選手に14号2ランを浴び、雲行きが怪しくなってきます。以下は川口さんの回想です。

「確か高めの甘いボールを右中間スタンドに運ばれたと思う。これで阪神打線が目を覚ましたんじゃないかな……」

阪神は代わった小林誠二投手にも襲いかかります。5回裏、掛布選手の10号ソロが飛び出します。被弾した小林さんにも話を聞きました。

「外のシュートを持っていかれた。完全に狙われていましたね。うまく浜風に乗せられましたよ」

勢いに乗る阪神は7回、真弓選手の11号ソロと掛布選手の11号2ランで、ついに7対7の同点に追いつきます。

そして8回裏、バース選手の15号満塁弾と岡田選手の9号2ランが飛び出し、13対7と試合を引っくり返します。9回に1点を返されましたが、終わってみれば13対8と5点差をつけていました。

 

85年の雰囲気とダブる金本阪神

この大逆転負けは、連覇を狙う広島の選手たちに重くのしかかりました。

川口さんの話。

「84年までの阪神は、悪く言えば個人のチームだった。皆、個人成績は気にするものの、チームとしての一体感はあまり感じられなかった。だから、負ける時は、あっさりしていたんです。

ところが85年は違っていた。皆、次のバッターにつなごうとするんです。いったい何があったのか……。ピッチャーにとっては嫌なチームになっていました」

そして、こう続けた。

「今年の金本阪神にも同じ匂いを感じます。次のバッターにつなごうという意識が強い。連覇を狙う広島や巨人にとっては要注意ですよ」

続いて小林さん。

「0対9から大逆転した阪神は、確かに85年のチームとダブりますよね。85年もそうでしたが、甲子園はファンが乗ってくると球場が揺れ、アルプス席から地響きのような音が聞こえてくるんです。完全アウェーの状態になるのは甲子園だけ。

つまり、ピッチャーは“見えない力”にのみ込まれてしまうんです。9点差を引っくり返された試合、広島のピッチャーもそういう思いを味わったかもしれませんね」

果たして球史に残る大逆転劇の顛末は……。5ヵ月後に、その答えは出ます。