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不正・事件・犯罪 週刊現代 日本
「任侠団体山口組」トップが私だけに語ったこと【独占激白】
織田絆誠代表の「大義」

未来の展望が苦しい業界にあり、既得権益保持に汲々とする旧世代の支配から改革に一命を賭す新世代が立ち上がる。これは闇社会の勢力争いにとどまらない。日本社会の縮図と言えるかもしれない。

「大きな船」は沈んでいく

まさしく寝耳に水の分裂であり、決起だった。

神戸山口組(井上邦雄組長)は六代目山口組(司忍組長)の「弘道会方式」を批判して分裂したヤクザ組織だが、4月30日、その神戸山口組がさらに分裂、若手を中心に「任侠団体 山口組」(約60団体が加盟)が新しく結成された。

しかもその代表には、神戸山口組の「秘密兵器」「核弾頭」とまで評された織田絆誠若頭代行(50歳、山健組副組長)が座った。

それまで井上組長がもっとも信頼する腹心が織田代表であり、織田代表もまた井上組長に心服と伝わっていたから、筆者自身も一報に接して、信じられない気持ちだった。

これまで神戸山口組は批判勢力として、批判される側の六代目山口組より、ある種の「大義」と清新さを持っていた。が、その優位点は今回の分裂劇であらかた失われたと見てよい。

なにしろ神戸山口組の上層部も、批判派の言によれば結局はカネ、カネ、カネの「弘道会方式」を是正するどころか、それと同じことを繰り返していると完全否定されたのだ。

当然、「任侠団体 山口組」の旗揚げは、六代目と神戸、2つの山口組の対立・抗争に重大な影響を与える。正・反・合の3段階理論とは言わないが、第三極の登場であり、今後、山口組全体の動向を左右する勢力になることは間違いない。

筆者は昨年7月、織田若頭代行(当時)にメディア界初のインタビューを行い、六代目山口組との和解交渉の真相を聞いた。

引き続き今回も結成直後、大阪でインタビューに漕ぎつけ、新団体結成の真意を質した。もちろん結成後、織田代表が初めて発する生の声である。

 

――ついに新団体結成です。感想はどうです?

織田 一言で申し上げると、こういう形を取らざるを得なかったことが残念至極である、と。というのは一昨年8月27日、神戸山口組は盃の重みを崩壊させてまで、盃以上の大義を前面に出し、立ち上がった。

その大義の一つは山口組を正し、次代に伝える。もう一つは、「俺たちはどうなってもいい。若い者の未来のために」です。

私は首脳たちから詳しく大義を聞かされ、胸を熱くし、情熱をもって全国の組織を先頭切って回らせていただきました。多いときは百数十名、少なくても50~60名を前に、繰り返し大義を代弁させてもらったんです。

で、結局はそれがウソと分かってしまった。名古屋方式とはざっくり言って多額の上納金、出身団体(弘道会)への贔屓、人の進言・諫言を聞かない、の三つです。それを否定すべく立ち上がったわけですが、神戸山口組の組織運営、中でも山健組の組織運営が名古屋方式そのものだった。

はっきり申し上げると、(六代目山口組の)司組長、髙山清司若頭、(神戸山口組の)井上組長、正木年男総本部長、この4名の方々が現役でいる限り、山口組は統一されないと、今は確信しています。

――4名が引退しないと再統一はあり得ない?

織田 そう。私のような若僧が引退勧告というのはおこがましいが、本当に山口組のため、若い者の将来を少しでも考えられるなら、引退すべきだと私は考えています。

そして次の中堅どころにですね、恨みつらみがまだ薄い世代にバトンを渡して、潔く再統合させてやり、皆をこの抗争状態から解放させ、楽にさせてやってほしいと切に願ってます。

二つの大きな船はこれからじわり、じわりと沈んでいきます。どうすればいいのか、自分なりに一生懸命考えさせてもらったんです。大きな船のすぐ横に、若手中堅が中心となった救命ボート的な船を置くことによって、二つの船から移り乗ってもらう。今、早急にできることはこれしかないと判断しました。