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企業・経営 週刊現代
巨象「三菱重工」が東芝みたいになってきた〜1年で営業利益が半分に
問題は飛ばないジェット機以外にも

戦後ニッポンの高度成長期を支えた巨象が、足元から揺らぎ出した。モノづくりの底が抜けたかのような失態が止まらず、次々に損失計上する事態に――。図体はでかい。倒れれば被害は甚大だ。

1年で営業利益が半分に

4月26日午後3時。

この日の株式マーケットが閉じようとしたその瞬間、東京証券取引所が運営する情報伝達システム上に三菱重工業をめぐる情報が映し出されると、市場関係者に衝撃が走った。

この1年で、営業利益が半減した――。

三菱重工が投資家向けに開示した財務資料には、そんな実態が記されていたのである。

三菱重工がこれまで投資家に開示してきた各種資料によれば、1年前の2016年5月段階では、'17年3月期に〈3500億円〉の営業利益を確保するとの見通しを示し、これは〈キャッシュフローやバランスシートの状況、受注残工事の質などから、達成可能〉と胸を張っていた。

'16年3月期の営業利益が3095億円だったことを考えれば、1割強の増益という強気な業績予想を出していた形である。

それが今回開示した最新資料では、弱気な文言がズラリと並ぶ状況に一転。実際にその文面を見ると、〈火力事業の売上高の減少〉〈商船のコスト悪化〉、さらには〈MRJ(註・三菱重工が開発している国産ジェット旅客機)の開発費増加〉などの損失イベントが立て続けに起きているとの実情を吐露。

その結果、営業利益は従来予想を〈下回る見込み〉で、〈1500億円〉になりそう……。つまり、たった1年で営業利益が約52%も激減することを初めて明かしたのである。

「言うまでもなく、営業利益は会社が本業で稼ぎ出す利益のこと。それが1年で半減するとは、経営の異常事態と同義です。

案の定、情報が駆け巡った翌27日は、株式市場が開く午前9時前から三菱重工株に対して、いくらでもいいから売りたいという注文が50万株以上も殺到。午前の相場で、同社の株価は一気に急落した」(大手運用会社ファンドマネージャー)

実際、三菱重工の経営の現場ではいま、モノづくり企業としての根幹を揺るがすような事態が進行している。

三菱重工は、原発、宇宙ステーション、航空機、艦艇などに及ぶ約700の製品を抱える日本最大の重厚長大企業だが、そうした主要製品の現場で設計変更、納入延期などが勃発。

その度にコストが積み上がり、売上高3兆円超、全世界8万人超の社員を抱える「巨象」が大きく揺らぐ事態になっているのだ。

最も象徴的なのが、MRJの現場。半世紀ぶりの国産旅客機と期待されたものの、'08年の開発開始から5度も納入延期をし、当初'13年としていた納入開始時期がいまだ見通せない「飛ばないジェット機」と化している。

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「見切り発車」の経営陣

「現場は明らかな経験不足で、信じられないミスやトラブルが絶えない」と、愛知県の開発現場の実情に詳しい関係者は明かす。

「たとえば、MRJは安全性の検査をクリアする型式証明を取らなければいけないが、日本人技術者にはその経験値がほぼない。

そのため、安全性の証明方法、試験の仕方は手探りで進めたが、昨年に海外技術者から最新の安全性対策には不十分と指摘を受けた。結果、2万本以上という途方もない電気配線の配置を全面的に見直さなければならなくなった。

これはほんの一例で、試験飛行のときに警報がビーと鳴った際、警報機に問題があるのか、警報の原因現象が問題なのか、すぐになにが悪いのかわからないということもあったようです。

幹部たちは『知見不足』と言うが、それは最初からわかっていたことで、それ以上に準備不足が否めない」