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医療・健康・食 ライフ 週刊現代

命にかかわるとわかっていても…医者が判断を誤り続けるワケ

意外に身近なところで起きている

お医者さんだって人間だ、ミスの一つもあるだろう。実際、マスコミでは連日のように医療事故が報じられているではないか――そう頭ではわかっていても、自分が診てもらっている医者が間違いを犯すかもしれないと本気で考えている人は少ない。

だが、それはもちろん誤解だ。医者の判断ミスは意外に身近なところで起きている。新宿ミネルバクリニック院長の仲田洋美氏が語る。

 

「私の経験では、自分に自信がある医師は判断を間違えることが多いですね。プライドが高すぎて自分を見つめる気持ちがないのでしょう。

地方の大きな病院に勤務していたとき、院長に診てもらっていた患者さんが私の外来に来たことがあります。非結核性肺抗酸菌症という、人から人へは感染しない結核菌に似た菌に肺が感染してしまう病気です。

驚いたことに、その患者さんは咳が出るからと吸入型ステロイドを処方されていました。感染症にステロイドは禁忌であることは、基本中の基本。

添付文書にもきちんと書いてあるのに、その院長はろくに確認もせず、吸入型ステロイドを咳止めとして処方したのです。

その院長はもともと別の病院で外科医をやっていた。請われて今の病院の院長になったのですが、内科専門医が辞めてしまったので、自分が内科も診るようになっていたそうです。

最終的にその患者さんは亡くなってしまいました。私は、その院長のところへ『内科を名乗るなら研鑚してくれ』と抗議に行きましたが、向こうは『地域医療に専門医なんて要らないんだ』と涼しい顔でした。本当に呆れ果てましたよ」

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このように、専門外のことでも「自分なら大丈夫」と自信満々に対応する医師ほど、判断ミスを犯しがちだ。都内大学病院の内科医の話。

「重い糖尿病で、ケトアシドーシスの状態にある患者さんが入院していました。この状態にあると血糖と体内水分量をこまめに調整することが大切になります。

ある朝、その患者さんの血糖値が急上昇していて、簡易測定器で測れなくなってしまった。

なにかあったのか看護師に聞いたところ、トイレに行くときにふらついていた患者を見つけた外科医が、勝手にステロイドパルス療法をやってしまったというのです。これは免疫制御のため行う治療で、糖尿病には意味がありません。

私は『内科の患者に勝手に手を出すな』と文句を言いに行きましたが、外科医に反省の色は見えませんでした」