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トランプ政権「現実回帰」で日本経済は厳しいディールを迫られる
想定されるリスクとは?

新興国に対する政策スタンス

トランプ大統領の就任から100日が過ぎ、いわゆる「ハネムーン」期間が終わった(ただし、トランプ大統領にとっては「ハネムーン」というわけにはいかなかったようだが)。

拙著『ザ・トランポノミクス ~日本はアメリカ復活の波に乗れるか~』(朝日新聞出版)は、トランプ大統領就任にあわせ、1月20日に発売されたのだが、これまた発売から100日が経ち、見方を変えるべき点がいくつか出てきているようだ。

大統領選勝利から大統領就任当初までの期間、トランプ氏はかなり過激な政策構想をぶちあげていたが、ここにきて、諸々の修正を余儀なくされている。

筆者は、著書の執筆をきっかけに出演させていただいたNHK「日曜討論」の冒頭、「トランプ政権の政策スタイルを一言で表すとどのようにいえるか?」という問いに対し、「現実路線への回帰」という回答をフリップで示したが、どうやらその局面に入ってきているように思う。

筆者が特に変わってきたと考えているのは、中国、ロシア、メキシコ等、新興国に対する政策スタンスである。

 

全米の圧倒的多数の経済学者から支持を得ることのできなかったトランプ氏が、経済政策のブレーンとしたのが、学界では特段の業績を持たないピーター・ナヴァロ氏であった。

トランプ氏の大統領就任によって、ピーター・ナヴァロ氏の著書である『米中もし戦わば』は、日本国内のトランプ関連本としては、拙著をはるかに凌ぐベストセラーとなった。

この『米中もし戦わば』では、米国の国益にとっての中国の脅威が、経済政策面、安全保障政策面から、ヒステリックなまでに考察されていたため、当初、トランプ政権は、中国に対して、経済政策(貿易政策)、及び、安全保障政策面からかなり強硬な姿勢で臨むのではないかと懸念されていた。

だが、実際には、東アジアの安全保障面で、より深刻な影響をもたらすことになりかねないのは中国ではなく、その隣国である北朝鮮が、米国の強硬な政策のターゲットとなり、中国は、対北朝鮮政策での重要なパートナー(というより「橋頭堡」なのかもしれない)として、その調整能力をトランプ政権に試されているように思われる。

このことは、トランプ政権が、ある程度は東アジアの安全保障政策に関心を持ち始めたことを意味するのではなかろうか。

もっとも、4月6日、7日の米中首脳会談の様子をみる限り、トランプ政権に対する中国側の警戒感(というより恐怖感と言ったほうがよいかもしれない)はかなり強く、このことが、米国サイドが露骨な圧力をかけなくても、中国側が勝手に「忖度」して、政策面でかなりの制約になっているのではないかとも思われる。

その意味では、対中国政策において、トランプ大統領は、お得意の「ディール」に成功しつつあるのではないかと考える。