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出稼ぎネパール人を狙った「SNS結婚詐欺」事件が多発しているワケ

お釈迦様の生誕地「聖なる国」の呆れた実態

「日本で稼いだおカネのほとんどを失いました。結婚詐欺にあったんです。警察からその事実を聞かされた時、 “ここで自殺する! パシュパティ(火葬場)はすぐそこだから焼いてくれ!”と叫んでいました。本当に死んでしまいたかった……」

そういってうなだれるラケッシュさんは、ネパールのチトワン出身の28歳。4年前、東京都内のネパール料理店で働くため来日。一時は自分のレストランを経営するまでになるが、昨年、結婚を約束した女性に大金を奪われるという悲劇に見舞われた。

ラケッシュさんの母国・ネパールの1人あたりGDPは752ドル(約85,000円)。1日1.25ドル以下で暮らす人の割合が55%と、国民の半数を上回る。そんなネパール経済を支えているのは、出稼ぎ労働者からの送金だ。在ネパール日本大使館のデータによれば、2012年時点の新規出稼ぎ労働者数は38,4000人。送金額は 3,595.5 億ルピー(約3595億円)と、GDPの 23.1%に相当する。

主な出稼ぎ先は、中東諸国やマレーシアなどがあげられるが、日本もまた人気が高い。治安がよく、高賃金であることがその理由だ。出稼ぎを決めたとき、ラケッシュさんの頭に浮かんだのも日本だった。

 

3年も頑張れば家が建つ

ラケッシュさんの家族は、農業に従事する両親とトラック運転手の弟、小学生の妹の4人。食べるに困るほどではないものの、豊かとはいいがたい暮らし向きだった。

結婚するまでに家を新築する。それがラケッシュさんの夢だった。その資金を作るため、日本でネパール料理店を経営する同郷の知人を頼ることにした。“3年もがんばれば、小さいながらも家が建つ”と聞いたからだ。日本までの旅費は、父親が水牛を売って工面してくれた。

月給は16万円。日本の平均賃金からすれば決してよいとはいえないが、給料の半分を故郷の家族に仕送りした。ネパール人の同僚2人と1DKのアパートで共同生活し、朝食以外の食事はまかない。欲しいものがあっても我慢し、遊びたい気持ちも封印した。

来日して1年が過ぎた頃、職場とアパートを往復するだけの毎日に変化が訪れた。常連客の日本人女性から、“ネパール語を教えてほしい”と頼まれたことがきかっけだ。その日以来、休日を彼女のアパートで過ごすようになり、3カ月後には結婚話が持ち上がった。

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「結婚した後も日本に住んで、一緒にネパール料理レストランをやろうといわれました。13歳年上の女性でしたが、そんなに気にはなりませんでした」

入籍を終えた後、妻の貯金を元手に小さな店を開いた。経営者となれば、収入も大幅にアップするだろうと期待したが、客足はなかなか伸びなかった。赤字の月は妻に叱責され、激しい口論になることも度々だった。