不正・事件・犯罪

【カンボジア人身売買事件】犯人の一人が経営していたレストランに潜入

喰い詰めていたのは、日本人の方だった

食い詰めていたのは犯人たちだった

前編では、カンボジアの首都・プノンペンで、日本人による人身売買事件の被害者となった女性・ジェイさん(仮名 24歳)にインタビューし、事件の顛末について語ってもらった。(→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51681)今回は犯人グループのカンボジアでの実態について迫ってみたい。

被害に遭った女性たちが、犯人グループの言葉に乗せられ来日したのは、「お金」が理由であったことは間違いないが、それは身体を売ってでも稼ごうと、いうのではなく、水商売をやって、日本円を稼げるならいいかなぐらいの気持ちであったことは前回紹介した。東南アジアは貧しいというイメージは、すでに大きく現実からズレていることは改めて指摘しておきたい。

むしろ、日銭が欲しいレベルに食い詰めていたのは犯人グループのほうだったことが取材を通してわかってきた。

私がプノンペンで取材を開始すると、今回の事件で捕まったフクイ・ススム(漢字表記不明)を知るBさんという日本人の実業家が証言してくれた。

 

「あいつ(フクイ)は生活に苦しんでいたね。事件が起きる1~2カ月ぐらい前、あいつが経営している飲食店が入っているビルのオーナーと、家賃の値下げ交渉をしてくれないかと私に打診してきたぐらいだからね。もう必死で、なりふり構っていられなかったんだと思いますね」

運転資金にも事欠く状態であったようだ。動機は完全に金で確定である。
このBさんに、フクイの経営していた店を教えてもらった。すでに閉店しており、警備員代わりの男が昼寝しながら常駐していた。

もし私が警備員を雇った管理者(オーナー)だったら、怒鳴り散らしたくなるほど緊張感の欠片もなかったが、取材する側としてはこれぐらいザルな警備体制のほうがありがたい。

「ちょっと物件見せて」
「あ、ええ……どうぞ」

眠りから覚めた警備員の男は、特に慌てることもない。

店舗の入り口に「FOR SALE」の表示があったのだ。事件発覚から2週間も経過していない段階で早々に追い出しにかかるあたりは、さすがに東南アジア的ないい加減さとでもいうべきか。