『無限の住人』公式HP(http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/news/)より
エンタメ 映画

キムタクの演技力は、これまで不当に低く見られてきたのではないか

美男俳優の「宿命」を超えて

「キムタク主演作」と聞けば、ファンでなくとも、時代を彩ってきた数々のドラマタイトルが思い浮かぶことだろう。しかし、美男の宿命か、「キムタクは何を演じてもキムタク」と揶揄され、その演技力がフラットに評価されることはほとんどない。実際のところ、役者としての実力はどうなのだろう?

昨年、『SMAPと平成』『月9』という2冊の著書を執筆するために、キムタクが出演したほぼすべてのドラマ・映画を観たという中川右介氏の答えは…?

解散騒動中に撮影された映画

映画『無限の住人』(三池崇史監督)を見た。http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/

SMAP解散後初の、木村拓哉主演の劇場用映画である。

撮影は、2015年11月から2016年1月までで、ちょうど、SMAPが分裂すると報じられ、解散しませんと発表されいったん落着した頃まで撮影していたことになる。

意地悪な、あるいは反ジャニーズ系芸能ジャーナリズムは、一連の解散騒動で悪役となってしまった木村の人気が「どこまで凋落しているか」を測る映画と位置づけていた。それもあってか、木村はテレビ番組、雑誌、新聞など、あらゆるメディアに出て、宣伝に務めていた。

ネットでは、ガラガラだと書かれている記事もあったが、私が行った5月4日、新宿の映画館は満席だった。客層も、男女比は半分くらいで、年齢層も広い。

原作のファンなのか、高校生から大学生くらいの男性も多かった。半月ほど前に観に行った、新橋演舞場での『滝沢歌舞伎』が99パーセント女性だったのとは、かなり違う。

冒頭の、木村拓哉演じる「万次」が不死身になるまでのモノクロームのシーンで、引き込まれた。この映画はただごとではないとの感じを抱かせる。

ここでの木村はまだ両眼があいており、顔に傷もなく、美しく、かっこいい。

その木村が怒りを爆発させ、「殺陣」というよりも、「戦闘」に近い、アクションシーンとなり、これがすさまじい。

その闘いが終わって、瀕死の状態にある万次は、山本陽子演じる謎の比丘尼によって、不死身の身体にさせられる――これが導入部分。

そのあと、「五十年後」となって、画面もカラーになる。

封印された美貌

予告編などで見れば分かるとおり、この映画での木村拓哉は顔に傷があり、片方の眼はつぶれている。美貌を封印しての主演である。

木村拓哉が、その外見の美しさゆえに、とくに女性から人気があるのは、否定のしようがない事実だろう。だが役者としては、外貌で評価されるよりも、演技で評価されたいのも本音だろう。

 

そういう思惑があって、美人女優が汚れ役に挑んだり、清純派女優が妖婦を演じたりすることがあるが、その多くは作品的にも興行的にも失敗する。

ファンは美人女優の汚れ役など望んでいないから興行的に失敗し、意地悪な映画評論家たちは、最初から褒める気がないから、せいぜい「がんばっているが、汚れ役に徹しきれていない」などと書くので、高い評価にならない。

初めから負けると分かっている闘いに挑むようなものだ。

木村拓哉の『無限の住人』は、その美貌を封印してはいるが、「木村拓哉をいかにかっこよく見せるか」に徹底し、その点で成功している。

アクションに次ぐアクションで、「見せ場」の連続で、登場人物も休む間がないが、見るほうも、ほっと一息、という場面がなく、心地よい疲労感をもたせる映画だった。