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明治維新は英語で何と言う?日本の「高校・世界史」を丸ごと英訳
こんな教科書、見たことない

日本語のニュアンスと真逆

学生時代、無味乾燥なものにしか思えなかった人も多いだろう教科書。そっけない「世界史」の表紙にため息をついた記憶もあるのでは。

実は、その世界史の教科書を丸ごと英語に訳した労作が出た。昔必死に覚えた用語のなかには、我々のイメージとは少し違う英訳を持つものもある。

まずは、幕末に日本で起こった「明治維新」。これを訳すと「the Meiji Restoration」となる。「restoration」とは、日本語では「復元」や「復古」と訳される。「いろいろなことが新しくなる」という意味の「維新」とはニュアンスが異なる。

ここで「restoration」が指しているのは「王政復古」のことである。日本は1867年の「王政復古の大号令」から、天皇中心の政治的な新体制を樹立した。この英訳を見ると、時代の変革よりも天皇制が「復活」したという側面が強調されているように感じる。

 

続いて16世紀のスペインにいた「無敵艦隊」はどうだろうか。こちらは「the Invincible Armada」となり、直訳すれば「無敵のアルマダ」となる。アルマダはスペイン語で「海軍」を指す。だから1588年、イングランドとスペインの間に勃発した「アルマダの海戦」は、「海軍の海戦」と少し間抜けな訳になってしまうのだ。ちなみにこのアルマダの海戦でスペインの無敵艦隊は大敗北し、半数以上の船を失う皮肉な結果に終わっている。

最後に、1861年から5年間にわたってアメリカで勃発した「南北戦争」はどう訳されるのか。答えは方位とは関係ない「the Civil War」で、これは「内戦」を意味する。

当時のアメリカは、北部出身のリンカーンの大統領当選にともない、奴隷制存続を訴えて合衆国から独立した南部11州からなる連合国とで二分されることになった。そして1861年にリンカーンが大統領に就任した直後、アメリカ史上空前絶後の規模の「内戦」が行われたのである。

改めて英語で世界史を読むと、時代背景や単語の意味が一味違って見えて面白い。

(嶋)

週刊現代』2017年5月20日号より