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野球 週刊現代

大谷翔平に続け! 二刀流の「英才教育」は10歳から始まった

野球選手の人生は13歳で決まる(4)

才能を伸ばすためには、環境が大きく左右する。幼少期からプロで活躍した一流選手に出会い、教えを請うた。日本ハム・大谷翔平に続け、と学生時代から二刀流に挑む逸材の成長過程を追った。

※第1回はコチラ⇒ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51417

清宮の目の前で特大の一発

今春の選抜大会で優勝した大阪桐蔭高校2年・根尾昂が、投手と野手の両方で活躍した約7ヵ月前、昨夏の選手権大会にも「二刀流」で甲子園を沸かせた逸材がいた。

春4回、夏13回もの出場を誇る福島で一番の強豪・聖光学院のエース兼4番だった鈴木駿輔。彼ほど幼少期から徹底的なアスリート教育を受け、プロ野球選手に指導を受けてきた例は極めて珍しい。

2年の春までは外野手だった鈴木が投手として注目されたのは、3年となった昨年3月の早稲田実業高との練習試合だった。

早実のスター・清宮幸太郎を目当てにマスコミが詰めかけた中、6番・投手で出場した鈴木はその清宮を2打数無安打に抑える(1打席失策で出塁)。さらに打撃でも清宮より一足先に、初回にバックスクリーン右へ特大の一発をたたき込んだ。

右投げ、右打ちで182cm、75kg。

しなやかな身体を大きく使って繰り出す直球は最速143㎞。打者としては反対方向へ打った打球をスタンドに運んでいる。細身ながらも並外れた体幹と足腰の強さ、そして潜在能力の大きさを感じさせた。

 

マスコミやプロのスカウトが注目し始めていた夏、鈴木は甲子園に出場し、3回戦に4番・投手として登板する。愛知の名門・東邦に、133球を投げて7安打2失点で完投勝利、バットでも2安打して8強進出に貢献した。このときから、一躍ドラフトの有力候補と目される存在になった。

鈴木がこう振り返る。

「甲子園で9イニングを完投できた、勝ったっていうのは、高校生活の中で一番でかかったです。全国版の新聞で見出しにされたことなんて、人生で一度もなかったんで」

将来の希望を聞くと、「プロに行きたいです」と即答した。が、進路が注目されていた中、鈴木はあえて青山学院大学への進学を決断している。

「もしかしたらすぐプロに採ってもらえるかもと思ったんですが、いまの身体じゃあ通用しないでしょうから。その前に、大学で4年間やったほうが、もっとレベルアップできると考えました」

青学は現在、東都大学野球リーグの2部に降格している。もっとファンやマスコミに注目される1部リーグの大学に進むつもりはなかったのか。鈴木本人に代わって、父の秀(49歳)が答えた。

「実は、私と青学の善波(厚司)監督とは、駿輔が中学生だったころからお付き合いがあるんですよ。善波さんの息子さんと駿輔が、同じボーイズリーグのチームに入ってましたんでね。そんな縁で善波さんにはずっと、駿輔が青学に来たら二刀流で育てていく、と言われていたものですから」

大学でも投打の両方でプレーを続けるというのだ。プロ入りしてからも二刀流を続けたら、プロとアマの球史で前代未聞の存在となるだろう。