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初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている

エリートの知られざる「生活」と「人生」 

司法の名の下、人の生殺与奪の権を握り、時に国家の命運を左右する力すら持つのが裁判官だ。しかし、その実像はほとんど知られていない。本当に彼らに人が裁けるのか。その内面と実態に迫る。

全国に3008人

裁判官は、日本でもっとも難しいとされる司法試験にパスし、さらに裁判実務の知識を学ぶ司法研修所の卒業試験でも、上位の成績優秀者の中からしか採用されない。その理由は、裁判官に与えられる権限の大きさと関係している。

神ならぬ人が、人を裁くという特別の責務と、国の政策をも変更しうる権力を与えられている裁判官には、最良の知性と良識、教養に裏打ちされた判断力が求められるからだ。

現在、裁判官は、最高裁判所を含む全国598ヵ所の裁判所に3008人(簡易裁判所判事を除く)が配置されている。そのうち、最高裁事務総局で司法行政に携わる「裁判をしない裁判官」を除くと、実質、2855人の裁判官で、あらゆる事件を審理し、判断を下しているのである。

裁判官一人あたりに割り振られる事件数は、年間200件~350件で、単純計算すると二日に1件、ないし2件の割りで処理していかないと消化できない数だ。

この事件の処理件数は、「星取表」と呼ばれる一覧表にまとめられ、個人別に集計される。

しかし果たして、エリートとして順調に歩み、世の矛盾に翻弄されたことも、理不尽な待遇に無念の思いを抱いたこともないであろう彼らに、厳正で人間的な判断が下せるものなのだろうか。

その疑問を解明するため、厚いベールに包まれた「孤高の裁判所」の奥深くに分け入り、約2年にわたり、のべ100人近い現職裁判官や元裁判官を全国に訪ね歩いた。

裁判所の内幕とともに、そこで働く裁判官たちが、どのような管理下におかれ、どのような思いで職務にあたっているのか。その知られざる世界と内なる声を、この連載のなかで可能な限り明らかにしていくこととしたい。

 

「先生の肉に何の用だ?」

おどけたポーズで、筋骨隆々の白ブリーフ姿の自撮り写真を、ツイッターのカバーページに掲げているのは、東京高等裁判所の岡口基一裁判官(51歳)だ。

東大法学部卒のエリート裁判官で、ベストセラー『要件事実マニュアル』の著者でもある。同書は、司法試験受験生の必読書とされているうえ、全国の裁判所の裁判官室にも備えられている。風変わりで、多才な裁判官である。

岡口判事のツイートは、法律問題から時事問題、さらには性の話題まで多岐にわたっていて、約3万4000人のフォロワーが常時アクセス。そのトップ画面に固定されているのは、「裁判員裁判って、国民を騙して導入したものだからね」といった政府批判のツイートである。

昨年6月、岡口判事は、2年も前に削除していた「エロエロツイートとか頑張るね」とのつぶやきや、SMバーの女王に緊縛してもらった写真などを掲載していたことが問題視され、戸倉三郎東京高等裁判所長官(現最高裁判事)から口頭で厳重注意処分を受けた。

「裁判官の品位を落とし、裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為をした」というのが、その理由だ。

この処分は、ある意味、考え抜かれたものだった。異議申し立てができない口頭注意処分にすることで、反論の機会を与えず、岡口判事を押さえ込もうとしたのである。
しかし戸倉長官の計算は大きく外れ、その狙いは失敗に終わっている。

処分を受けた岡口判事は、ツイッターをやめるどころか、先の政府批判をツイートの最上段に固定し、対決姿勢を打ち出している。

最近も、ニュースサイトで報道された「性行為の理想的時間の長さ」が31分であったことを取り上げ、こうつぶやいた。「30分ではなく31分なんだ。最後の1分(にはいったいどういう意味があるのか)が気になって気になって、セックスに集中できなかったじゃないか」。

自由奔放に発信し続ける岡口判事への処分が、新聞等で大々的に報道されたことで、皮肉にも裁判所の、言論の自由への認識がいかに低いかをさらけ出すという「おまけ」までついたのである。

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幼稚園の頃から優等生

しかし岡口判事は、なぜ、こうも過激で、型破りなのか。

岡口判事をよく知るベテラン裁判官は言う。