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環境・エネルギー
原発再稼働を決めた関西電力が、それでも抱える「ジレンマ」
値下げをすれば顧客は戻るのか?

新電力との価格競争に勝つため…

関西電力は5月中旬をメドに、福井県にある高浜原子力発電所4号機を、6月上旬に同原発3号機を再稼働させる方針を決め、福井県と高浜町に伝えた。

滋賀・大津地裁が出していた運転差し止め仮処分を今年3月末に大阪高等裁判所が取り消したのを受け、関西電力が再稼働に向けた作業を進めている。原発再稼働をきっかけに減り続けている販売電力量を増やしたい考えで、顧客奪還に向けて攻勢をかける。

関西電力の岩根茂樹社長は、再稼働した段階で「速やかに値下げを行う」と表明している。日本経済新聞によると再稼働による収益改善効果が840億円にのぼり、それを全額料金の引き下げに充てる方針という。値下げ幅は3%を軸に調整しているようだ。

関西電力が値下げに踏み切るのは、新電力との価格競争に勝ち、流出した顧客を取り戻すため。昨年4月の家庭向け電力の小売り自由化以降、1年間で70万件が新電力に移ったという。これに伴い販売電力量の大幅な減少に直面している。

 

4月28日に発表した2017年3月期決算は最終利益こそ、前の期に比べてほぼ横ばいの1407億円となり、2期連続で黒字決算となった。ところが、販売電力量は1215億キロワット時と4.7%も減少した。

関西電力の電力販売量は、電力大手10社の中では、東京電力に次いで長年2位だったが、前期は中部電力の1218億キロワット時にわずかながら抜かれ、業界3位に転落した。

電力大手10社のうち前期決算で販売電力量を増やしたのは北陸電力、沖縄電力、中国電力の3社。10社平均で1.7%の減少となった。関西電力の減少率4.7%は平均を大きく上回り、北海道電力の6.2%減に次ぐ高さとなった。

電力販売が落ち込めば、売り上げも減少する。関西電力の前期の売上高は3兆113億円と7.2%減少した。

関西電力の電力販売量の減少は2014年度は4.2%減と10社中最大、2015年度も5.2%減と最大だった。2年前の1345億キロワット時から10%も減っている。

もともと原子力発電への依存が高かった関西電力は、運転休止の影響が最も大きく、電気料金が他社に比べて高止まりしていた。

昨年4月の電力小売りの完全自由化以降は、大阪ガスやその他の新電力との価格競争にさらされ、顧客を奪われてきた。今回の原発再稼働を機に値下げによって巻き返しを図りたいというわけだ。

問題は、原発稼働効果で値下げをすることで、本当に顧客を奪還できるかどうか、だ。