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防衛・安全保障 アメリカ 北朝鮮
「北朝鮮危機」はあざとい猿芝居だ! 日米朝「形だけ」の演出
軍事のプロなら一目でわかる

ひとつめのブラフ

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、朝鮮半島近くに空母「カールビンソン」 を派遣した米国、対抗するように300門の自走砲を並べて一斉砲撃をみせた北朝鮮、空母型護衛艦を初の米艦防護に派遣した日本…。

役者がそろい、大向こうをうならせるケレン味あふれる大芝居。「トランプ屋! 金屋!」。そして「安倍屋!」

おや、と疑問を抱かせたのはまず米国だった。

米太平洋艦隊は4月10日、米韓合同演習「フォールイーグル」に参加し、シンガポールに寄港した後、オーストラリアへ向かう予定だったカールビンソンを「西太平洋の北部海域に派遣する」と発表した。朝鮮半島沖に地上攻撃ができる空母を差し向けるというのだ。

北朝鮮では翌11日、国会にあたる最高人民会議が平壌(ピョンヤン)で開かれ、この日金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の党第1書記就任5周年を迎える。15日には金日成(キムイルソン)国家主席生誕105周年があり、各国メディアを招待して大規模な軍事パレードが予定されていた。

空母派遣という物騒なプレゼントは、生誕を記念して6回目の核実験もしくは米国まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射など「絶対にやるなよ」というトランプ政権からのメッセージである。

 

これに対抗するように北朝鮮は軍事パレードに潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」、新型の大陸間弾道弾(ICBM)など米国の脅威になる兵器を次々に登場させ、期待通り、もとい予想通りの見せ場を演出した。

フィナーレは翌16日、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の新浦(シンポ)付近からの弾道ミサイル1発の発射だった。直後に空中で爆発し、数時間後、韓国のソウルに到着したペンス米副大統領が対応に頭を痛めることもなく、生誕式典は幕を閉じた。

米国は北朝鮮の「誠意」に答える。米太平洋軍司令部当局者は18日、軍事パレードにあわせて派遣すると発表していたカールビンソンが、実はパレード当日には、朝鮮半島から約5600キロも離れたインドネシア近くを航行していたと発表した。

カールビンソンは当初の予定通り、オーストラリア海軍と共同訓練を行っており、朝鮮半島へは舳先を向けてさえいなかった。

トランプ大統領が「我々は大船団を送っている」と述べたのは、得意の「オルタナティブ・ファクト(もうひとつの真実)」だったのである。

米軍最高指揮官の大統領が空母の行動を知らないはずがない。朝鮮半島へ向かわせるとの発表は、ブラフだったと考えるほかない。