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格差・貧困 ライフ

ギャンブル代のために一肌脱ぐシングルマザーのそれなりに平穏な日常

オンナの収支報告書【19】

鈴木涼美さんが独自の人脈を駆使して「オンナのお金の稼ぎ方・使い方」を取材・考察する本連載。今回は、パチンコ依存症気味の風俗嬢さん(しかもシングルマザー)の、それなりに平穏な日々に密着します。

※バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki

風俗嬢はなぜホストと整形にハマるのか

見知らぬオヤジに乳首を吸われるというのはよほど変わった性癖かトラウマでもない限り、控えめに言ってもかなり気持ちの悪い行為なので、それなりのモチベーションや対価がなければ、それを継続的にやろうという人はなかなかいない。

フードルやアイドルAV女優を夢見て「今の自分とは違う自分になれる」「特別な存在になれる」というそこはかとない期待もモチベーションの1つであるが、やはりメジャーな直接的動機は支払われる対価、つまりお金である。

「股開いて高額もらえるのだから女はいいね」なんていう言説に対して、稀に風俗嬢やその支援者などから風俗は立派な労働であり、ものすごい重労働である、だから報酬も大きいなんていう脇の甘い反論を聞くことがあるが、報酬は別に労働が重いか軽いかというより女の子の供給とのバランスで決まっているのであまり関係がない。

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重労働で月給20万円であってもアパレル店員になりたい、という女の子はいるし、ギャラ5千円でいいから青年誌のグラビアを飾りたいという女の子もいるが、日給5千円でも乳首を舐められたいという女の子は限りなく少ない。東電OLくらいである。

ただ、日給10万円だったらやりたいという女の子はそこそこいる、そういうことである。日給10万円でも絶対やりたくないという女の子の方が多いし、日給10万円でもできればやりたくないというのが大半の総意ではあるが。

で、面白いのが入り口の動機はその日給10万円が独立した動機として成立することが多いが、継続する動機は日給10万円それだけでは成立しないということである。簡単にいうと「特にお金に困ってはいないしものすごく欲しいものがあるわけでもないけど日給10万円もらえるならデリヘルやってみよっかな」というノリの人間はごまんといる。

しかし、高額な報酬それだけで何年も継続しているのかというと話は別で、多くが風俗嬢を始めてから、いい塩梅でお金を注ぎこめる対象を見つけ、そのために継続するという場合がものすごく多い。そうでなければ風俗嬢の貯金なんて軒並み数千万あってもおかしくないのである。

 

例えば歌舞伎町のホストクラブには圧倒的に風俗で働いている女の子が多いが、世間的にイメージされるように、あるいはどこぞの大女優の娘がわかりやすく実践して見せてくれたように「ホストにハマったから風俗嬢になった」という子はどちらかといえば少数で、「風俗嬢になったからホストにハマった」という子の方が多い。

そもそもキャバクラと違ってホストクラブなんていうのは日本のメジャーな遊び場ではないし、物理的にもイメージ的にも初回のハードルは高いので、夜業界に足でも突っ込んでいない限りなかなか行こうとは思わない。

風俗に入ってから行くぶんには、ちょうどシャンパン1本の料金が90分1本の手取り金額と同じだったりして、いい塩梅、つまり働き続けなければ行けないけれど頑張って働けば相当楽しめる、という具合にお金を注ぎ込む対象となる。

オヤジに乳首を舐められ続けるに値するほどの対象は継続的に、そして半永久的になくてはならない。そしていくらでもお金を吸い込む機能がなくてはならない。ブランド品や高額なアニメの原画などのマニア向け商品もそれになり得るが、ある程度稼げば手に入ってしまい、また数限りあるという点ではやや役不足である。

圧倒的に存在感を示すのが、人の心や権利を手に入れられるというふれこみのホストクラブや、コンプレックスの源泉を取り除けるというふれこみの整形手術であるのは納得がいく。

上記2つを私は風俗嬢の供給を支える二本柱だと思っている。その2つほど存在感があるわけではないが、一定の割合で必ず出会うもう1つの注ぎ込み先は、パチンコやインターネットカジノなどのギャンブルである。

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