スマートエネルギー情報局
2017年05月09日(火) 加谷 珪一

原油価格と経済の関係、本当に把握していますか

価格が下がれば、日本は得する?損する?

では需要面はどうだろうか。当然のことだが原油の消費量は先進各国が突出して多い。断トツのトップは米国で1日あたり1940万バレルの原油を消費している。

次に消費量が多いのはEUで1270万バレル、3位は中国で1200万バレルとなっている。日本の消費量はこのところ低下しており2015年は415万バレルであった。

以上の数字を再確認すると、原油市場における米国の存在感の大きさが分かる。米国は世界でもっとも石油を生産し、そして石油を消費している。産油国から一方的に原油を輸入する必要があるのは、EU、日本、中国だが、米国はそうではない。

ガソリンPhoto by GettyImages

原油価格が下がると先進国は得をする

原油が産油国から消費国に流れるということは、その購入代金という形でマネーが消費国から産油国に流れることを意味している。このマネーの動きが世界経済の動きに大きな影響を与えている。

2014年の価格下落局面では、1バレル=100ドルから30ドル程度まで下落したわけだが、これは、消費国から産油国に支払われる石油の販売代金が3分の1になったことを意味している。

原油価格が下落すれば、その分消費国は得をすることになり、その金額はざっと計算すると年間100兆円に達する。50ドルで推移したとしても、毎年70兆円近くの富が産油国から消費国にシフトすることになる。

消費国はより安価にエネルギーを入手できるので、原油価格の下落は、経済の活性化につながる。特に石油の消費量が多い米国では、原油価格が1ドル下がると個人消費が1%増加するともいわれている(実際はそれほどでもないが)。加工貿易を行っている日本も理論的には恩恵が大きいはずだ。

日本は年間で12億3000万バレルの原油を輸入している。原油価格が今後も1バレル=50ドル程度で安定した場合、1バレル=100ドル時代を基準にすると約7兆円程度の経済効果が見込めることになる。

これはGDP(国内総生産)の1.3%、国家予算(一般会計)の7%に相当する金額だ。実際には、原油の価格下落に加えて、石油関連製品の価格下落効果が加わるので、恩恵はさらに大きくなる。

経済的に考えれば、原油価格の下落によって日本が受けるメリットは極めて大きいという結論になる。ただし、原油価格の上下は単純にマクロ経済的な影響にとどまるものではない。株式市場など資産価格の変動に影響を与えるため、急激な価格変動は市場の不安心理を増大させる。

最終的に原油は安い方がよいのだが、急激な価格変動は各方面にマイナスの影響を与えかねない。この基本を押さえておけば、ニュースを大きく読み誤ることはないだろう。

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