スマートエネルギー情報局
2017年05月09日(火) 加谷 珪一

原油価格と経済の関係、本当に把握していますか

価格が下がれば、日本は得する?損する?

ここ数年、日本経済は原油価格の動向に振り回され続けてきた。日銀が量的緩和策を導入し、物価がこれまで以上に重要な政策目標となったことがその主な要因である。

原油価格の動きは国内の消費者物価指数に大きな影響を与えるため、政府は原油価格の動向に一喜一憂せざるをえない。実際、日銀は2014年後半に発生した原油価格の急落によって、物価目標の達成が困難になったと認めている。

だが、こうした話はあくまで金融政策におけるテクニカルな問題であって、実体経済の話とはまた別である。

原油価格の動向は、物価の問題だけにとどまるものではなく、実体経済に大きな影響を与えているが、現実にどのようなメカニズムが働いているのか知る人は意外と少ない。

だが、この仕組みが分かってしまえば、経済の動きも思いのほかシンプルに理解することができるはずだ。

産油国トップは、実はアメリカ

原油価格は2014年半ばまでは1バレル=100ドル前後で取引されていた。2014年の後半から価格下落が進み、一時は4分の1近くまで下がってしまい、これが世界経済に大きな混乱を引き起こした。

ニュースでは原油価格の下落は基本的に良くないこととして報道されるケースが多いが、原油価格の変動が経済に与える影響はそう単純ではない。

原油価格が経済に与える影響を知るためには、原油がどこで生産され、どこで消費されるのかという大きな動きを知っておく必要がある。

石油Photo by iStock

原油といえば中東というイメージであり、多くの人は原油のほとんどが中東で生産されると思っているが、この認識は正しくない。

現在、世界でもっとも多くの原油を生産しているのは米国であり、2015年には1日あたり1270万バレルの生産量があった。2番目はサウジアラビアで1200万バレル、3番目はロシアで1100万バレルとなっている。

サウジアラビアは2013年までトップの生産量を誇っていたが、米国でシェールオイルの開発が進んだことでトップの座を明け渡した。

全世界の原油生産量は9200万バレルなので、米、サウジ、ロシアの3カ国で約4割の世界シェアを握っている計算になる。

中東の生産量をすべて足し合わせても(サウジ含む)3000万バレルにしかならないので、原油市場における中東各国の影響力はイメージほど大きくない。

近年、OPEC(石油輸出国機構)の影響力が低下していると報じられることも多いが、数字を見ればそれも納得ということになるだろう。

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