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企業・経営 週刊現代

ニトリ会長が明かす、30期連続増収増益「一人勝ち」の極意

私は社員に反対されたものほど、やる…

「いま日本で一番すごい経営者」の登場だ。モノが売れない時代にもかかわらず、30期連続の増収増益を達成するなど破格の勢いで成長している。なぜ一人勝ちできるのか――その極意を語り尽くした。

似鳥昭雄(にとり・あきお)1944年生まれの73歳。昨年2月に社長交代し、会長兼CEOに就任 〔PHOTO〕gettyimages

「利益が第一」では失敗する

経営というのは売り上げや利益を上げようと鼻息が荒くなるほど、その逆になってしまうものです。企業として売上高や利益というものが第一の目的になってしまうと、お客の立場を忘れてしまうからですね。

私も創業時はそうで、経営に行き詰まりました。しかし、1972年に訪米した際にアメリカ人の生活の豊かさに衝撃を受けると、それからは日本人の暮らしをアメリカに近づけたい、日本人の生活をより豊かにしたいというロマンを持ち、それを達成するためにビジネスをやるようになりました。

そして、人々の暮らしを豊かに、より豊かに、もっと豊かに……と毎朝毎晩考えて商品を作り続けてきたら、気が付いたら30期連続の増収増益という結果がついてきただけのことです。

中小企業がいざ儲け始めると、すぐ自分の給料を破格に上げたり、女房や子どもを役員につけて高い給料を払ったりする経営者がいるでしょう。あれが最悪のパターンでね。

うちは利益が出たら会社の資本金に入れて、とにかく会社を大きくしていったんです。もちろん自分の懐を膨らませたい誘惑もありましたが、そういう時は「ロマンを達成するためにやっているんだ」と自分に言い聞かせる。

「先客後利」と言うのですが、私は先にお客の利益を考えることで後から利益がついてくると思っています。先に売り上げや利益を求めると、お客は来てくれない。そういう気持ちで商売をしていると、いくら宣伝しても、買ってもらえないものです。

だから、私は寝ても覚めても、お客のことを考えていますよ。いまどんな不平、不満を持っていて、なにを不便に感じているのか、その解決のためにはどんな商品を作ればいいのか、ということを365日四六時中考えているんです。それさえわかってしまえば、商品開発はさほど難しくない。

よく、「ヒット商品を連発できる秘訣は?」と聞かれますが、お客の不平、不満、不便を探すこと。これに尽きますよ。

たとえば、お風呂から上がった時に使う『珪藻土バスマット』を開発した時は、繊維素材だと足裏がべたつくのが嫌だという不満があった。

また、珪藻土バスマットという商品はニトリが出すより先にすでに市場に存在していましたが、従来品は価格が1万円、2万円と高額だった。

こういう不満を見つけた時こそチャンスで、私は思わず嬉しくなっちゃって、「うちが安い価格で売り出せれば、すごく売れるな」と見えるわけです。

 

できそうにないことをやる

ただ、こんなときも自分たちが儲けようと思って価格をつけると、必ず失敗しますよ。自分でも買える価格にする、というのがポイント。

実際この時は、「珪藻土マットはいくらだったら買えるか」とうちの奥さんや周りに聞いたら、「5000円なら」と言う。では、もっと気軽に買える値段はいくらかと聞くと、「3000円台かなぁ」と言う。

じゃあ、そのくらいの価格にしようということで、「3000円台」に決めました。

価格を決めたら、原料や製造方法をどうすれば3000円台で作れるかを徹底的に調べあげて、実現していくだけ。つまり、生活上の問題を発見したら、商品開発の8割方は終わったようなものです。

もちろん、「実現すればいいと簡単に言うが、それが一番難しいのではないか?」と思われるかもしれません。従来にないモノを作ろうとするわけですから、それはその通りです。

実際、従来1万~2万円で売られているものを3000円台にするには、手間暇もかかるし、新しい知識も勉強しなければいけないし、そもそもどこから手を付けていいのかわからない。それならば、やらないでおこう……と考える会社のほうが多いでしょう。

しかし、私はむしろその逆で、できそうもないものだからこそやる。できそうもないものは誰もやらないけれど、そのリスクがあるからこそチャンスがあると考えます。できそうなものはみんながやるから、むしろやらない。みんながやろうとしないリスクからこそ、利潤が生まれるのです。