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人口・少子高齢化 格差・貧困
退職→妻と別居→ストーカー疑惑…大手企業元部長の老後が壊れるまで
実録・やがて哀しき管理職[1]

お天気も上々予想のゴールデンウィーク。実は、高齢者どうし、施設どうしの交流イベントが全国各地で開かれ、シルバー世代にとっては「奮起の季節」でもあるのだとか。

明るく元気で皆にモテモテの紳士淑女がいれば、自分の話ばかりダラダラ続ける身勝手老人、気難しさを露骨に放って疎んじられる陰鬱老人もいる。新著『絶望老人』(宝島社)を発表したノンフィクション作家の新郷由起氏によると、こうした場でのふるまいから、現役時代にどんな生き方をしてきたか、透けて見えることが多いという。

会社という狭い世界だけを見て生きた人たち、とりわけ部下を従える経験の長い元管理職たちは、こうしたイベントの場に限らず、会社組織の上下構造から抜け出せず、老後生活で周囲との摩擦を生み出し、孤立したり身を滅ぼしたりするケースが目立つ。

そんな老後イヤだ、と思うアナタ。ぜひこれから始まる「身につまされる話」に耳を傾けて、自分ごととして考えてみていただきたい。新郷氏が直接見聞きしてきた、実例の数々をシリーズでご紹介しよう。

退職後に待ち受けていた「卒婚」

「老後を一人で生きるなんて、想像もしてなかったよ」

そう言って苦笑する持田英雄さん(仮名/74歳)は現役時代、大手エネルギー系企業で管理職に就いていた。「役員手前」で退いた後は、関係会社へ籍を移して68歳で退社。以後は年金生活者へ転じる。

「これといったビジョンがある訳じゃなかった」というリタイア後の生活は、趣味の読書を楽しみながら、たまには夫婦で旅行に出掛け、盆と正月を子どもや孫と過ごす……といった、ごく“典型的な”シニアライフを漠然と思い描いていた。

 

ところが――。

「退職から1か月ほどして、妻から『卒婚』を切り出されたんだ」

「卒婚」とは、婚姻関係は解消せずに、夫婦がそれぞれのライフスタイルを追求して暮らす「結婚生活の卒業」を意味する。相手は、別居を望んだ。

「実家のある兵庫に帰って母親と暮らしたい、って言うんだよ」

持田さんは千葉出身。大阪転勤の際、歓迎会で隣り合わせた4つ下の女性と26歳で社内結婚し、1男1女を儲ける。

5年後に本社へ戻り、40歳で地元に3LDKの一軒家を購入して20年ローンを完済。子どもたちも独立し、外資系企業に就職した長男は英国在住、長女夫婦は大阪で2人の子どもを育てている。

老後は夫婦2人で穏やかな生活を……と、信じて疑わずにいた彼には「青天の霹靂」でしかなかった。