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格差・貧困 不正・事件・犯罪
我が子を「居所不明児童」にした鬼畜母の所業
止まらない「負の連鎖」

居所不明児――日本で存在の確認できない子供のことである。

国の調べによれば、2016年時点でわかっているだけで25人の居所不明児がいるという。

私は『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』(新潮社)のなかで、虐待家庭で生まれ育ち、殺害されたり、流浪生活を余儀なくされたりすることで、行方がわからなくなった子供たちを追った。

この世から消え去ってしまった子供たち。

今回は、その取材から、彼らがいかに行方不明になったのか。そして、どういう人々が彼らを見つけ出して救出しているのかを報告したい。

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長女の行方がわからない

わが子を居所不明児にさせた母親と会ったのは、茨城県、土浦市にある特別養子縁組のNPO「Babyぽけっと」だ。臨月の川西知恵(仮名、24歳)である。

この団体は、子供を育てる意思のない母親から、子供を引き取り、別の夫婦に特別養子として与えるサポートをしている。

知恵が、この団体に連絡してきたのは1年半ほど前のことだ。彼女は、代表の岡田卓子にこう訴えた。

「妊娠しているんですが、お腹の子供を育てることができません。養子に出してください」

岡田は、特別養子縁組に出すという条件で了承した。そしてお産まで、住むところがないというので、母子寮の1室を貸すことにした。

少しして市の職員が岡田のもとにやってきた。そしてこう言われたのである。

「実は、知恵さんは1人娘がいるんです。この娘が居所不明児童で行方がわからないままでした。調査のために話を聞きたいのですが、よろしいでしょうか」

そう、知恵は、わが子を行方不明にした母親だったのだ。

 

19歳で出産、間もなく離婚

なぜ知恵の娘が、居所不明児童になったのか。それについて述べたい。

知恵は、父子家庭で育った。早くに離婚し、父親が知恵を引き取って育てたのだ。だが、父親は気が短く、暴力で幼い知恵を支配した。

夜は毎日のように酒を飲み、愛人ができれば好き勝手に家に連れ込んだ。家事はすべて知恵任せ。そのくせ、機嫌が悪い時は、知恵に手をあげ、一切の口答えを許さなかった。

家で行われた父親の暴力のせいなのだろう、知恵は自分の感情を殺して生きるようになった。父だけでなく、人から言われたことをすべて黙って受け入れ、ニコニコと微笑んで相手の顔色をうかがってばかりいた。

中学へ上がると、知恵は不登校になる。父親によってゆがめられた、極端に消極的な性格が原因で人とコミュニケーションがとれない上、家で勉強をさせてもらえないので授業についていけない。それに父親から押し付けられる家事も登校の足かせとなった。そうしたことが重なり、学校生活に適応できなくなったのである。

卒業後、知恵は高校へは進学せず、ラーメン屋でアルバイトをして生計を立てていた。そんな彼女の周りに集まってきたのは、同じように高校へ行かなかった不良の男たちだった。

知恵は、そんな男たちと付き合う中で、19歳で出産することになった。