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企業・経営 ライフ 週刊現代

三越伊勢丹・大西洋前社長「赤坂の別宅」から徒歩で出勤する日々

社内の仲間は次々と粛清・退社

ライバル会社に引っ張られるのはほぼ確実

今年3月、役員たちによる突然のクーデターで辞任に追い込まれた三越伊勢丹の大西洋前社長。大西氏が社内で置かれた状況は、辞任直後にも増して厳しいものになっている。三越伊勢丹の中堅社員が言う。

「『大西派』だった二人の役員――伊勢丹新宿本店店長の鷹野正明さんと情報戦略本部長の中村守孝さん――が、『粛清人事』によって役員をクビになりましたが、3月末で会社も辞めてしまいました。

普通、役員が退職するときには、社内報に半ページくらいのスペースを使ってあいさつが載りますが、今回はそれすらなく、退職の告知が載っただけでした。

大西さんは社長時代から、伊勢丹新宿本店が開店する際には毎朝店頭に立ってお客様にあいさつをしていましたが、最近はその頻度も減っているそうです。出社しても会議室に籠もるくらいしかできないと思います」

 

大西氏は6月に取締役を辞任する予定で、顧問や相談役に就くこともなく、そのまま38年勤めた会社を去ると見られる。

だが、大西氏がこのまま「やられっぱなし」で終わるかと言えば、そうではなさそうだ。社内にはこんな見方がある。

「今後、大西さんがライバル会社に引っ張られるのは、ほぼ確実です。もともと『いいものをお客様に売りたい』という情熱も実力もある人ですから。

会社の内規があるので1年ほどは動きが取れないと思いますが、その後、他社の百貨店の立て直しなどを求められれば、そちらに入社して、三越伊勢丹に対抗する店舗をつくるでしょう。

一方、三越伊勢丹は、騒動後の混乱が収まらず、いまだに内線番号表、組織図すら完成していない。社内イントラ上では『メンテナンス中』になっています。

杉江俊彦新社長率いる新体制の幹部たちは、大西時代に業績で負けるわけにはいきませんから、『4月、5月の売り上げは前年比増を死守せよ』と発破をかけていますが、こんな状態では、とても達成できそうにありません」(前出・中堅社員)

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大西氏本人は今後のことをどう考えているのだろうか。本誌は、大西氏が東京・八王子市にある自宅とは別に、通勤用に構えた赤坂の高級マンションを訪ねた。

朝8時過ぎ、大西氏が出てきた。伊勢丹メンズ館を立ち上げた洒脱な人物だけあって、サイズが合ったシックなスーツを着こなしている。迎えの車はない。今は徒歩通勤のようだ。

――週刊現代です。退任後、どうされていますか。

「まだ普通に会社には行っています。すみません、取材はちょっと……」

――やり残したことや後悔はありますか。

「(キッパリとした口調で)いえ、ないです。とくにないです」

――大西さんのもとで役員を務めていた方が退任したことについては?

「それは、コメントはナシです。ノーコメントで。すみません」

――今後はどうするつもりですか。

「それはまだ決めていません」

――会社に頑張ってほしい思いはありますか。

「もちろん……あの、今後、成長していくことを期待しております」

そう言い残すと、足早に去って行った。

異例の解任劇が残した禍根は大きい。

「週刊現代」2017年5月6日・13日合併号より