〔PHOTO〕gettyimages
選挙 ドイツ
台頭する「極右」政党を全力で潰しにかかるドイツ社会の危うさ
「反AfD」という名の全体主義

警官4千人、装甲車に放水車まで出動

ドイツで2013年にできた新党AfD(ドイツのための選択肢)のことは、このコラムでよく取り上げるので、すでにご存じの方も多いだろう。そのAfDをめぐって、ドイツで信じられないようなことが起こっている。

4月22日、23日に、ケルン市でAfDの党大会が開催されたのだが、すでに前日の21日金曜日、メディアは次のような報道一色に染まっていた。

AfD前党首のフラウケ・ペトリ―氏 〔PHOTO〕gettyimages

シュピーゲル・オンラインは、「ケルンのAfD党大会の安全 警察は『大変懸念』」、フランクフルター・アルゲマイネのオンライン版は、「ケルンのAfD党大会 警察は5万人の反対デモを予想」、また、第1テレビと第2テレビは共に、ケルンが厳戒態勢に入っている様子を、危機感を煽るように報道した。抗議デモの暴動化が予想されたからだ。

党大会の会場となっていたマリティムホテルの周りは、すでにこの日、4千人の警官が動員され、装甲車まで配置される厳戒態勢だった。党大会の期間中は、マリティムホテル上空は民間の飛行が禁止されることになった。

デモの目的は、AfDのケルンでの党大会に反対するというよりも、AfDの存在を潰すことのようだった。デモの勢力は「自由と寛容のため」、AfDを無きものにしようとしていた。

 

デモを宣言したのは、いくつかの市民団体を集めて作られた反右翼ケルン連合、そして、「我々の十字には鈎はない」をモットーに掲げた教会、フェミニストグループ、そして、カーニバル同好会。

AfD〔PHOTO〕gettyimages

ケルンは、デュッセルドルフと並んでカーニバルの盛んなところで、お祭りの期間は町中が仮装した酔っ払いで満員になる。その中のコアな人たちは、お祭り以外も1年中、何だかんだと集っている。これらの市民が、AfDを潰すために決起するということだった。

ただ、この人たちだけなら、装甲車や放水車まで用意して厳戒態勢をとる必要はない。いくら何でも、教会関係者やカーニバル同好会が、そこまで暴走することは考えられない。

警察が神経質になっていたのは、他にもデモを宣言していたグループがあったからだ。実は、暴力的な極左団体が何日も前から、フェイスブックなどで、ドイツ中の仲間に「ケルンに集まれ!」と呼びかけていたのだ。

「おれたちの祭りは、奴らの地獄だ。コンフェッティ(カーニバルの時に撒き散らす綺麗な色の紙ふぶき)の代わりに火器を!」

「ケルンの地獄にようこそ!」

などというおどろおどろしいメッセージが流され続けていた。なぜ、これが放置されていたのかが解せない。

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