マリーヌ・ルペン。右隣がその父、ジャン=マリー・ルペン〔PHOTO〕gettyimages
フランス 大統領選
ルペンの正体(1)成り上がり政治ファミリーの系譜
父が「国民戦線」党首になるまで

政治一家の源流

4月23日のフランス大統領選第1回投票で、右翼「国民戦線」の候補マリーヌ・ルペンが決選進出を決めた。

中道左派候補のエマニュエル・マクロンに次いで2位の得票で、当初予想されたトップとはならず、やや失速気味だと評される。

ただ、移民排斥や欧州連合(EU)離脱を公言する候補にこれほどの支持が集まったのは、それだけで衝撃的でもある。

5月7日の決選投票でもし大統領に選ばれたら、フランスのみならず世界にとって大きな懸念材料となるだろう。米国のトランプ、ロシアのプーチンといったポピュリズム権威主義指導者と結託し、国際秩序を乱す流れをつくる恐れが拭えない。

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マリーヌ・ルペンをここまで押し上げた要因は、一つではない。

近年、労働者や農民らグローバル化に乗り遅れた人々の不満や不安を吸収するようになったのは一因だ。テロやイスラム主義の脅威に対して最も強硬な姿勢を示す点が評価された面もある。その実像は、拙著『ポピュリズムと欧州動乱』(講談社+α新書)で指摘した通りである。

ここでは、その一つの側面として、ルペン一家の政治とのかかわりを振り返ってみたい。

 

国民戦線の初代党首ジャン=マリー・ルペンと、その三女で第2代党首のマリーヌ・ルペンは、フランスで影響力を持つ現役政治家としては最も長続きしている家系である。

マレーヌ・ルペンとジャン=マリー・ルペン父と娘〔PHOTO〕gettyimages

彼らの力の背景に、その継続性があるのは間違いない。現在のルペンを理解するうえで、その源流をたどるのは、無駄ではないだろう。

ルペン家の起源は、フランスの西北に突き出した半島ブルターニュ地方にある。名家でも何でもない。漁村の、ごく普通の漁師の一家である。

庶民の出身であることが、名家ぞろいのフランス政界にあって「ルペン」という独自ブランドを際立たせることになった。