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医療・健康・食

オリーブ油は日本人にはリスクあり!? こんなに違う「人種と健康」

今夜、「世界一受けたい授業」で

日本人が必要以上にオリーブ油を使うと生活習慣病の原因となる内臓脂肪が増えて、逆に健康をそこなう恐れがある…?体質が違うと、健康法もこんなに違う。今夜、「世界一受けたい授業」に登場する奥田昌子さんが、その違いについて説明します。

オリーブ油に潜むリスク

島国に暮らす日本人は、長い歳月にわたって日本人同士で結婚し、この国の気候風土に合った生活を送りながら、固有の習慣に従って生きてきました。これにより、日本人の体も、とくに欧米人とは多くの点で異なる特性を示すようになりました。

たとえば昨今、オリーブ油が健康に良いと言われています。少し前には赤ワインブームもありました。これらの食品を多く摂取する地中海地域やフランスは心臓病による死亡率が低いことが明らかになっていたからです。

しかし、日本は心筋梗塞の発症率が世界で最も低い国の1つで、心臓病による死亡率も地中海地域やフランスより低いのです。これらの地域の食生活を真似る必要はないどころか、日本人が必要以上にオリーブ油を使うと生活習慣病の原因となる内臓脂肪が増えて、逆に健康をそこなう恐れがあります。

また、日本人は欧米人とくらべて肝臓でアルコールを分解する力が弱い人が多く、赤ワインであれ日本酒であれ、日常的にアルコールを飲むと生活習慣病だけでなく、がんの発症率が上がります。

このように体質が違うとなると、欧米生まれの健康法が日本人には合わないことがあります。

では日本人にとって望ましい健康法とはどんなものでしょうか。この例で言うと、日本人がこれからも心臓を守るのに有効なのは、おもに青魚に含まれるEPAとDHAをしっかり摂取することです。

日本人は心臓病にも認知症にもなりにくい

これらの特性は東アジア人にもあてはまります。日本人と東アジア人は髪や瞳の色、肌の色だけでなく、体質もかなりの部分が似ています。

欧米人とくらべて心臓病が少なく、骨が強く、乳がんの発症率が40代で頭打ちになるのも同じなら、胃がんになりやすいのも同じです。

東アジア人に心臓病が少ないのは動脈硬化が進みにくいからです。近年、動脈硬化の進行が認知症の発症に大きく影響することがわかってきました。

高齢化社会をむかえた日本では認知症が大きな問題になっていますが、年齢構成をそろえて高齢化の影響をのぞいたデータで比較すると意外なことがわかります。

60 歳以上の人のなかで認知症と診断された人の割合は、東アジアを1とすると旧西欧諸国は3、オーストラリアは4です。日本人を含む東アジア人は動脈硬化が進みにくいぶん、認知症にもなりにくいようです。

耳垢のタイプで「クスリの効き方」が異なる!

その一方で問題なのが胃がんです。胃がん発症率の世界上位5ヵ国のうち、なんと4ヵ国を日本と東アジアの国々が占めています。これは単にピロリ菌が蔓延しているからではなく、おそらくは、もともと胃がんになりやすい遺伝子を持つ人が多いからです。

日本が東アジアの一員であることを示す例はまだあります。

耳垢です。

 

耳垢には、しっとり湿ったタイプと、カサカサに乾いたタイプがあり、日本人の大多数が乾いた耳垢を持っています。しかし耳垢が乾いているのは世界では東アジア人と、はるか昔にアジアから渡っていったとされる南北アメリカおよびアラスカの先住民に限られます。

これに対して白人とアフリカ系の人はほぼ全員が茶色くてべたべたした耳垢を持っています。この耳垢の違いはたった1個の遺伝子で決まり、さらに、もっと大きな体質の違いと関係しています。

「外国の薬は強い」と聞いたことはありませんか。日本人は一般に薬がよく効き、欧米だけでなく東南アジアの薬も日本人には強く、副作用が出やすいことが知られています。この原因は体格の違いや、薬の安全性に関する考え方の違いだけではありません。

じつは、耳垢を決める遺伝子は細胞に入った物質を排出する機能にもかかわっており、乾いた耳垢を持つ人は細胞内の物質を外に出す力が弱いのです。そのため飲んだ薬が細胞の中に長くとどまる傾向があり、薬の作用が強く表れます。

片や、耳垢が湿っている人は薬がすぐ排出されるので効きにくく、これを補うために海外の薬は成分が強くしてあります。日本人が海外の薬を飲むときは注意が必要です。