選挙 政局

小泉・安倍・小池「三者"怪"談」その全内幕を明かそう

【緊急寄稿】あの夜、料亭で何が?

4月18日夜、赤坂の料亭「津やま」の前に、報道陣が集結した。その日の夕方、「小泉純一郎元首相と、小池百合子都知事が会う」という情報が駆け巡ったからだ。さらに偶然にも同じ店で、安倍首相が企業経営者らとの会合を行うというのだから、政治記者たちがざわめくのも仕方ない。

事実、山崎拓・元自民党副総裁、武部勤・元自民党幹事長、そして二階俊博・現幹事長らも交えた会合が行われた。翌日以降の新聞・週刊誌では「都議選を前に、重要な政治談議が行われたのではないか」といった記事が掲載され、読者の関心を呼んだ。

4月26日発売の「週刊文春」や、同日の日経新聞朝刊にも、この時の模様が描写されているが、「密室」ではいったいなにが話し合われたのか。小泉元首相に単独インタビューを行った経験をもつなど、小泉氏に最も肉薄しているノンフィクションライターの常井健一氏が関係者らを取材し、その内情を描く。

「小池さんが来るわけないだろ」

春先、小泉純一郎は武部勤から手紙を受け取った。「久々に会いたい」という主旨が綴られていた。

武部は「偉大なるイエスマン」と自称し、自民党幹事長として郵政選挙を乗り切った小泉の側近中の側近。だが、政界を引退して以来、二人はちゃんと会っていない。

小泉はすぐに武部と連絡を取り、食事をする約束をした。会場として指定したのは、40年以上も贔屓にしている赤坂の日本料理店「津やま」だった。

「せっかくだから……」

小泉はそう言って、「YKKトリオ」として盟友だった山崎拓も誘うように促した。武部は現職時代、山崎派に属した。山崎とは小泉政権の5年5ヵ月の間にともに党幹事長も務めたという共通点もある。

一方、武部からも「ご指名」があった。小泉政権で経済産業相を務めた二階俊博である。息子で後継議員の武部新は現在、二階派に属している。

「現職の幹事長だから来ないだろう。二階さんが『来たい』って言うならいいけど」

小泉は、そう言った。

普段、「津やま」に客人を招く時は2階にある座敷を押さえる。10人ほどがゆったり座れる室内にはトイレもあり、じっくり「密談」するにはもってこいの場所だ。

しかし、その日の小泉は1階にあるカウンターに並んで飲むつもりでいた。小泉はもともと人目を気にしない性格であるし、武部も山崎も政界の第一線から退いている。いまさら、他人に聞かれてマズい話はない。

4月18日夕方、小泉はいつも通り、約束の時間より早く赤坂に到着した。

店の前には記者らしき集団が待ち構えていた。昨夏に総理退任から10年を迎えた小泉には、番記者がいなくなって久しい。怪訝に思いながら暖簾をくぐると、店の人間から「安倍晋三」が来ることを知らされた。そして、小泉はカウンターではなく、その背後に一組だけ座れる小上がりに案内された。

18時過ぎ、武部、山崎、さらに小泉が来ないと思っていた二階がやってきた。メンバーが揃ったところで、山崎が小泉に切り出した。

「実はね、今日、小池に電話しちゃったんだよ」

小泉は面喰った。

 

4日前に都内で開いた原発ゼロ運動の記者会見でも「小池さんが都知事になってからは一度も会っていない」「応援するつもりはない」と強調したばかりだ。小池百合子は小泉内閣の環境相であり、会食のメンバーになれる〝資格〟はあるが、小泉はそれを事前に知っていたら、出席をキャンセルしていたかもしれない。

無論、山崎も小泉の性格を知り尽くしている。あくまで「小泉政権同窓会」の体を装いつつ、武部を通じて二階と小池の〝会談〟を水面下でセットしたのだろう。山崎は小泉を前にトリックスターを演じきった。

「小池さんが来るわけねえだろ」
「でも、わかんないぞ。どうする」
「どうするって。『来る』と言ったら、断るわけにはいかないだろ」

20時前、緑色のジャケットを羽織り、首からじゃらじゃらとネックレスをぶら下げた女がやってきた。東京都知事の小池だ。