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決選投票で極右ルペンが勝つかもしれない「これだけの理由」

経済で読む「フランス大統領選」の行方

マクロン氏か、ルペン氏か

4月23日、注目のフランス大統領選が実施された。第一回目の投票の結果、単独過半数を獲得する候補者はいなかったため、中道系独立候補のマクロン氏と極右政党である国民戦線(FN)のルペン氏の上位2人が5月7日の決戦投票に駒を進めた。

当初は、ともにEUからの離脱を公約とする極右のルペン氏と極左のメランション氏が決戦投票に進む可能性が懸念されていたが、この「極右対極左」の決戦投票が回避されたことで、世界のマーケットは「リスクオン」モードとなり、世界中の株価が軒並み上昇している。

さらに、その後の世論調査で、マクロン氏への投票を考えている国民が多く、現時点では中道のマクロン氏が次期フランス大統領に就任する公算が強まったこともマーケットの安心感をもたらしたようだ。

今回の大統領選では、既成政党からの候補が破れ、独立系のマクロン氏と従来は泡沫候補でしかなかった極右のルペン氏が決戦投票に勝ち残った。

ルペン〔PHOTO〕gettyimages

これは、ヨーロッパ、特にフランスで頻発するイスラム過激派らによるテロ行為の脅威に対して、現政権や既成政党が有効な対策を講じることができないでいる現実も影響したのであろうが、長期的な低迷状態にあるフランス経済の建て直しはもはや既成政党では無理、というフランス国民の既成政党に対する強い絶望感がその背景にあると思われる。

そして、そこにはシリアを中心とする中近東・アフリカからの難民・移民が、雇用をはじめとするフランス経済の足枷になっているとの見方がつながっている。結果として、イギリスのEU離脱(Brexit)やアメリカのトランプ旋風と似た政治的な構図となっており、このことが「EUからの離脱、フランス第一主義」を唱えるルペン候補の人気を飛躍的に高めることになった。

 

だが、筆者は、ルペン候補が元々は、過激な「極右勢力」であった点は、Brexitやトランプ大統領のときの状況とは幾分異なっているのではないかと考える。

フランス国民の多くは、ナチスドイツが大陸欧州にもたらした大きく深い傷を忘れていないだろうと思われるので(これは他の大陸欧州諸国も同様だろう)、ルペン氏の台頭には、いまもなお強い警戒感を持っているのではなかろうか。

現在の経済状況に強い不満があるのは確かだが、だからといって、かつてナチスドイツがヨーロッパ諸国にもたらした悲劇を忘れるほどではないことが、EUへのコミットメントの強化を打ち出すマクロン氏の人気につながった側面が強いのだろう。

マクロン〔PHOTO〕gettyimages

また、マクロン氏は39歳で、若くして投資銀行の幹部から経済相にまで上り詰めた類まれな優秀な人物であるということなので、彼ならば、フランス経済をなんとか立て直してくれるとの期待も大きいのであろう(ただし、ルペン氏も「極右」のレッテルを貼られることを嫌ってか、国民戦線の党首を辞任することを表明している)。

したがって、現状では、決戦投票においてマクロン氏が勝利する可能性が高いようだ(逆に、ルペン氏が勝利した場合は、それだけフランス経済の低迷が深刻であったということになるだろう)。

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