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規制緩和・政策 不正・事件・犯罪
憲法改正と「教育無償化」で権益拡大を狙う文科官僚の邪な野心
「予算増加」のための改憲か?

森友問題の背景には「教育の利権化」がある

森友学園が追い詰められている。21日、経営破綻して民事再生法の適用を申請。24日、25日と、籠池町浪理事長は、保護者や債権者への説明に追われた。父の泰典前理事長は経営に関与していないが、大阪地検特捜部の捜査は開始されており、ゴールデンウィーク明け後、強制捜査など何らかの動きがありそうだ。

国会を揺るがし、安倍晋三首相夫妻の脇の甘さを露呈させた森友学園騒動は、籠池氏の罪を問う森友学園事件となるが、事件の背景に「教育の利権化」があることを忘れてはならないだろう。

同時進行の形で、文部科学省の天下り斡旋問題が追及され、3月30日、関与した歴代事務次官8名を含む37名という大量処分者を出したことがそれを物語る。

景気低迷下でも教育の必要性を訴えられると、それに逆らえない。91年の大学設置基準の大幅緩和で、90年の507校が15年には779校と急増。文科官僚は、許認可権と約3000億円の私学助成金を使って、大学を支配、天下り先を確保した。

森友学園が設置しようとしたのは大阪府が管轄する小学校だが、教育の利権化という観点から見れば同じ。籠池氏が、証人喚問で恨みに思う政治家として大阪府知事の名を二度あげたのは、橋下徹、松井一郎と続いた日本維新の会の代表でもある府知事が、規制緩和のもと「認可適当」としながら、騒ぎになると掌返しで「認可しない」と、森友学園を追い詰めたからだ。

 

校舎施工業者の藤原工業は維新に献金する支援企業で、下請け業者の三栄建設は維新が入居するビルのオーナーで社長は「経済人・大阪維新の会」の副会長。財務省官僚の「10日間、身を隠せ」という指示を籠池氏に伝えた顧問弁護士(本人は否定のうえ顧問を退任)は、維新の代議士と親しく、校舎工事業者・中道組の紹介だった。

籠池氏は、規制緩和で小学校開校への道を開いてくれた維新に連帯する気持ちもあって、工事を含む周辺を維新で固めた。それだけに裏切られたという気持ちが強かった。

ただ、日本維新の会が、昨年7月の参院選の公約に「幼児教育から大学までの授業料無償化」を訴えた教育環境向上に最も熱心な政党であるのは疑いない。現行憲法26条で定める小・中学校を対象とした「義務教育の無償」の拡充を目指している。

そのために必要なのは憲法改正で、細かい相違点はあるものの、そこでは維新と自民は連帯する。そして、自民も呼応するように動き始め、教育再生本部特命チームが、今年1月から関係部局のスタッフを集めて大学までの教育無償化の勉強会をスタートさせた。

もともと、維新・松井、自民・安倍の両氏が胸襟を開くのは、12年2月26日、松井府知事が「日本教育再生機構大阪」と題するシンポジウムに首相就任前の安倍氏を招き、その後の居酒屋会談で「教育再生」などを話し合い、盛り上がってからである。

それから5年を経て、憲法改正、教育再生で再び、連帯しようとしている。課題はいうまでもなく年間4~5兆円に達するといわれる財源である。前述の自民党特命チームでは、教育国債、税制改正、消費税拡大、子供保険の4つの案を軸に検討、最も有力な案が教育国債である。

「子供たちに、借金のツケを負わせていいのか」という慎重論がある一方で、「受益者負担の考えに立てば、むしろ合理的」という意見もある。ただ、注意すべきは利権官庁化している文科省が、さらに膨大な予算を抱えることで、無駄な支出やさらなる利権化を誘引するのではないか、ということだ。

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