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格差・貧困 ライフ
「妊婦・母乳風俗」で赤子のオムツ代を稼ぐシングルマザー
オンナの収支報告書【18】

鈴木涼美さんが独自の人脈を駆使して「オンナのおカネの稼ぎ方・使い方」を取材考察する本連載。今回は、乳飲み子を抱えつつも、母乳風俗で生活費を捻出するバツイチシングルマザーの生き様に密着します。

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髪の先からつま先まで売り切る

セックスワークはワークである、なんていうスローガンもあったが、やっぱり女の身体や存在というのはそれだけでお金を生むものである。

風俗嬢の労働を軽視するつもりも、AV嬢の切磋琢磨を否定する気もないのだが、それで得る報酬が、純粋に労働に対してのものだと思うのであればやはりそれは純粋すぎる勘違いであって、若さや女性であることに対して、あるいは美しかったりおっぱいが大きかったりすることに対して支払われている対価はとても大きい。

 

女はそれだけでお金になる。それはものすごく幸運でものすごく不幸なことである。そしてそれが若さや美しさという付加価値を背負う時、さらに大きなお金をうむということもまた、幸福であり残酷な事実だ。

私たちは、自分の若く美しい肉体をいつでも資本主義的目的遂行のために使用する自由を持っており、また機会にも恵まれている。

90年代から2000年代初頭にかけて流行した女子高生のブルセラも、制服やブルマ、下着だけでなく、使用したリップクリームや生理用品、ストッキングやおしっこまでが売り物となった。

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女は常に、つま先から髪の先までお金にしようと思えばお金にすることができる機会と誘惑に晒されており、それをするもしないも本人の心の持ちようでしかない。

そう言った誘惑に一切負けずに一貫して頭脳や技術によって、あるいは家柄や人柄によって財をなしていくのも1つの気高い女の生き様ではある。あるいは戦略的に自分の価値が高騰するまで保存し、最高値の状態で売りぬけるという生き方もまた聡明である。

それはそれで大変尊いと思うのだけど、私は逆にすべての機会に正面から突っ込んで言って、髪の先からつま先まで売り切るというのも潔く思う。すべての誘惑の先に自ら勇んで入っていき、自分の身体をグラム売りして血肉をすべて自分のために使う。そこにもまた清々しい気高さを感じるのだ。

そういう意味で、自分の身体が通る変化もその都度お金にして、母乳までもお金にしたアキちゃんの愚直さに、私はちょっと共感する。私より1つ年下のアキちゃんと私は、恵比寿の駅前にある喫茶店で初めて会った。もう2年前のことである。