脱北者による北朝鮮核実験への抗議活動 photo by gettyimages
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「朝鮮半島有事」が不動産市場に巻き起こす中国人「爆売り」の脅威

来たるべき北朝鮮の核実験に備える

北朝鮮が6回目となる核実験を断行した場合、アメリカが先制攻撃を行う準備がある、と現地のメディアが報じている。北朝鮮は現在「様子見」していると言われるが、いずれにしても予断を許さない状況だ。もしそうした、いわゆる「朝鮮半島有事」が起きたとき、私たちの生活のインフラ、とりわけ苦労して得た土地や建物の価値は、いったいどうなってしまうのか。『マンション格差』(講談社現代新書)の著者で、不動産市場の動きに詳しい住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう読む――。

あのとき外国人は一気に姿を消した

朝鮮半島がキナ臭くなってきた。最悪、第二次朝鮮戦争が始まるかもしれない。

今回も日本にとっては他人ごとではない。ミサイルが飛来するかもしれない。はたまた日本国内でテロが生じるかもしれない。朝鮮半島で有事が生じたときに、日本の不動産市場はどうなるのか? いまから想定しえる風景を考えてみる。

想定のベースになるのは、6年前の東日本大震災だ。あのとき、東北から北関東にかけての太平洋岸を中心に巨大な津波が押し寄せ、福島第一原子力発電所からは深刻な放射能漏れが起こった。一時期、その放射能は首都圏にも及ぶのではないかという観測さえ広まった。

東京からは各国の大使館を始め、外国人が一斉に姿を消した。あのとき、東京から上海へ向かう航空便の片道チケットは30万円だったと聞いている。それにもかかわらず、そういうチケットを買った人は多かったようだ。

 

手付金も放棄してタワマンを解約

東日本大震災は2011年3月11日に発生した。世間はいわゆる「年度末」だった。新築マンションは、デベロッパーの決算の都合上、3月までに竣工させて年度内に引渡し・決済となるケースが多い。

ちょうどそのころ、東京の江東区湾岸エリアで竣工したあるタワーマンションでは、購入者への引渡しが行われていた。それは有名タレントを起用した広告で話題になった物件である。ところが、あの大地震と原発事故の影響か、購入契約をしていた外国人が20人ほど手付金を放棄して解約したと、私はあとになって聞いた。

一方、同じく湾岸の埋立地である新浦安では激烈な液状化現象に襲われていた。地中の水が道路に吹き上がるだけではなく、道路がめくれ上がって、地下の上下水道管を機能不全に追いやった。当然、その上下水道菅に依拠している周辺の住宅では、水道もトイレも使えなくなる。急きょ仮設トイレが設置されたが、行列待ちが2時間という事態に陥った。まさにパニックである。

今回、朝鮮半島に有事が生ずれば、そういったパニックが首都圏に限らず、日本の各所で発生する可能性がある。