金融・投資・マーケット

世界中の投資家が、日本円を「調達通貨」として選ぶのはナゼ?

そうか、だから「有事の円高」になるのか

「比較的安全な資産として円が買われた」世界経済を揺るがす事態が起きる度に度に繰り返されるこのフレーズ。欧州の財政危機、イギリスのEU離脱、米国のシリア空爆、そして北朝鮮で緊張感が高まり、為替が円高になった時にも耳にした。

しかし、この言葉にどこか釈然としないものを感じる人も多いのではないか。

リスク回避で株が売られるのはわかるのだが、なぜ円が買われるのか。なにしろ日本は先進国でも最も借金が多い借金大国のはず。この一見矛盾した現象の背景にある金融市場の裏事情を、FX投資のストラテジストがわかりやすく解説する。
 

ポイントは2つある

4月7日金曜日午前10時過ぎ、ディーリング・ルームに緊張が走った。それまで安定していた為替市場で、突然円が急騰したからだ。ディーラー達は何が起こったのかを知ろうとモニターに目を走らせる。

「アメリカ軍、シリアに対しミサイル攻撃を実施」

トランプ米大統領が就任後初めての軍事行動をとったことで、金融市場では日経平均株価が急落、同時にリスク回避の動きとして当然のように円が独歩高になった。

さらに11日のNY時間、トランプ米大統領は得意のtwitterで「北朝鮮は問題を起こそうとしている。もし中国が解決するなら素晴らしい。もしそうでないなら我々が彼らなしで解決する」とつぶやき、アメリカ単独でも北朝鮮に対して軍事行動を取る可能性を示唆した。この地政学的リスクの高まりにも市場は迷うことなく円買いで応じた。

このところ、中東や北朝鮮情勢などが緊迫化したり、欧州各国の政治的不透明感が高まった結果、「リスク回避の円高」となる場面が増えている。テレビニュースでは「比較的安全と言われる円が買われ、円高になりました」など報じられている。

こうした市場の動きや報道に接して、違和感を覚える個人投資家が多いのではないか。遠く離れた、シリアやアフガンでの戦闘のニュースで日本の円が買われるのは、感覚的には納得が行くものの、説明するのは難しいのではないか。北朝鮮での軍事行動の可能性、それも在日米軍基地が報復攻撃の目標になる可能性が高い状況でも、円が買われるのは何故なのか?

ポイントは2つある。

1.円を「買っている」のではない
2.外国人投資家による日本株投資の手法

である。

そもそも金融市場におけるリスク回避、とはどんな状況を指すのだろう。

 

それを知るにはまず通常の状態、つまりリスク選好を知る必要がある。リスク選好の状態では、世界の投資家、たとえば年金基金、投資信託、ヘッジファンド、などはさまざまな債券、株式、商品(原油、金など)に投資をしている。しかも利回りを上げる事が使命であるプロは、日ごろから現金の比率を必要最低限にして資金の多くの部分を投資している。

それに対してリスク回避の状態とは、紛争や災害、経済危機などによって、不透明感(変動幅、リスク)が許容範囲を超えて高まった場合を指す。そのような時、資金を守るために、投資家達は投資を引き上げ、現金の比率を高める行動にでる。