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フィリピンパブ嬢のヒモだった僕が結婚し「送金地獄」にハマるまで
稼いでも稼いでも金が消えてゆく…

フィリピンパブ嬢なんてやめとけ

偽装結婚。月給6万円。月の休み2回。ノルマ、ペナルティに追われる毎日。ゴギブリだらけの家。暴力団の監視付き。

これがフィリピンパブで働くパブ嬢の労働、生活実態だ。

大学の研究で取り上げようと思い入ったフィリピンパブで出会った、パブ嬢ミカ。彼女と交際することで、見えてきたフィリピンパブ嬢の実態。

僕は、酷い労働・生活下にいる彼女を目の当たりにし、「助けたい」と思っていたのだが、ミカは「助けはいらない! 私は自分で選んで日本に来た」と、弱音を吐くこともなく、逞しく日本で生活している。そんな彼女の姿に段々と惹かれていった。

 

交際を続けていると、僕の友人や親からは「フィリピンパブ嬢なんてやめとけ! どうせだまされてるんだ。しかもヤクザに囲われてる女なんだろ、危険すぎる」と反対される。

周囲が心配するように常に暴力団の影に怯えながら交際を続けていたのだが、ついにはミカが契約よりも早く偽装結婚の相手と離婚させられそうになり、閉店後のフィリピンパブにバックに暴力団がいる彼女のマネージャーと話し合うために乗り込んだ。

ミカの彼氏になり、初めは「助ける!」と偉そうなことを言っていたのに、大学院修了後就職活動に失敗し、ミカの姉夫婦の家に居候するようになり、友人たちには「プー太郎」「ニート」「ヒモ男」などと呼ばれ正真正銘ヒモになり、彼女のビザが切れるタイミングで結婚するに至った。

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「あんた、バカじゃないの。私、ビザのために結婚するんじゃないよ。あんたが好きだから結婚するの。ビザが取れなかったらまた迎えに来ればいいじゃない」

どっぷり浸かったからこそわかった、フィリピンから日本のフィリピンパブへ来る仕組み。搾取の構造。彼女たちが危険を冒してまで出稼ぎに来なければいけない事情。過酷な環境の中でもポジティブに生きるパブ嬢たち。そんな1人のパブ嬢ミカと僕の危険な交際の経験を書き綴ったのが『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書)だ。

ミカはマネージャーとの契約を終え、暴力団との関係も解消し、自由の身となった。僕と結婚してビザも下り、パブの仕事から少しずつ昼の仕事にシフトしようと、平日は自動車部品の工場に働きに行くようになった。僕も多くはないが日雇い現場仕事で稼ぎを作る。

暴力団との間に契約もなく、誰からも自由を制限されることもない。好きな時に好きな場所に行ける。もう昔のように暴力団の影に怯える必要もなければ、ノルマ、ペナルティに追われて大変な思いもすることはない。ようやく平穏な日々がくると思っていた。