不正・事件・犯罪

籠池前理事長と150分間話した末に、見えてきたこと

「逮捕するなら、すればいい」
伊藤 博敏 プロフィール

「首相、嘘はいけない」

大阪地検特捜部の森友学園捜査が、着々と進んでいる。

告発の受理案件は、国土交通省への工事費水増しで補助金を不正に受け取ったとする補助金適正化法違反と、財務省近畿財務局の担当者が学校用地を不当に安く払い下げたという背任容疑。さらに、国から受け取ったゴミ除去費用のなかから2000万円を業者からキックバックさせたという公金横領の疑いも浮上、強制捜査は目前だ。

本来、こうした事件報道は、メディアが捜査当局と被疑者、事件関係者を粘り強く取材することで方向性が見え、事件の進捗状況がわかる。しかし、今回は様相が異なる。

異例と言っていいほど早い告発の受理、そして事件化が濃厚な2000万円問題は、国交省の調べで発覚したとして、大阪の事件なのに、いずれも「東京発」で情報が流された。国会で紛糾する森友学園問題を、早く終息させたいという官邸の思惑である。

国策捜査――。

その足音に怯える様子もなく、籠池泰典前理事長は淡々としていた。大阪市内のホテルの一室。月刊誌『FACTA』の取材に参加した私は、籠池氏と対面。そこには、記者会見や国会喚問で見慣れた、言語明瞭で臆することがないキャラの立った籠池氏がいた。

 

4月20日発売の同誌で、「首相、嘘はいけない」というタイトルのもと、昭恵夫人への100万円寄付が本当であることも含め、思いの丈を述べている籠池氏だが、私にはどうしても尋ねたい「語られざる謎」があった。

3月10日、なぜ大阪府に提出していた「瑞穂の國記念小學院」の設置認可を取り下げたのか、である。

「経営破綻と事件化のシナリオ」は、ここから始まったといっていい。もし私が、籠池氏の身の保全を第一に考える弁護士なら、こうアドバイスしたハズである。

とにかく小学校は完成させるべきだ。大阪府の認可は、今年、下りないかもしれない。しかし、私学審議会が「認可適当」の意見を出し、それに従って土地を購入、校舎を建設した以上、大阪府とは戦えるし、ほとぼりが冷めれば、いずれ道は開ける――。

ところが籠池氏は、自ら撤退を表明した。その結果、建設会社の藤原工業は、工事をストップ、9割以上仕上がっていたのに未完成のままである。国交省との契約上、小学校が建設されなければ、解体の上、土地を返却することになっているのだから当然だ。その結果、20億円がムダになり、完成していれば校舎を担保に融資することになっていた銀行も手を引いた。

撤退表明によって、籠池氏は破綻への道を歩み始めた。言わずにはおけない性分なので、それ以降、野党やメディアに「国と府の不当」を訴えた。それが森友学園問題をさらにクローズアップさせたが、「一強」の安倍晋三政権は、「法務・検察」を含む霞ヶ関の総体を率いて攻撃に出た。

権力は強くてズルい。都合のいい資料は出して籠池氏を攻撃、出したくない資料は、廃棄の上、コンピュータからも“抹殺”した。

従って、3月10日は、籠池氏が“自爆”した日である。その理由を質した私の質問に対する籠池氏の答えは、「酒井(康生)弁護士がそう勧めたから」といういささか“拍子抜け”するものだった。

これに限らず籠池氏は、先読みするタイプではなく、熟慮より先に行動があった。補助金、助成金の不正受給や認可関係書類の不当所得など、今後、特捜部が立件するかもしれない事案については、現段階で、「籠池氏の弁」として触れることはできないが、計算を尽くした感はない。だから校舎建設に際し、三つの契約書が存在するなどわかりやすく、本人のなかでは恐らく説明がついている。

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