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企業・経営
入社3日目で会社を辞めたくなった人へ教えたい「仕事の基本」
「新人」を3回経験した私だから分かること

『世界の一流36人「仕事の基本」』の著者・戸塚隆将氏が、新入社員に向けて「一流の人が大切にしている仕事の基本」を明かす。

ゴールドマンサックスで大失敗

桜も散り、新年度が本格的にスタートしました。入学、入社、転職を期に、新しい環境に馴染むべく頑張っておられる人が多いでしょう。

スタートの時期の華やかさとは裏腹に、新人にとってはプレッシャーの多い時期です。失敗もあるでしょうし、理想と現実のギャップに悩むこともあるでしょう。入社3日目にして早くも会社を辞めたくなった人もいるかもしれません。

私も新人時代を3回経験しました。最初は新卒でゴールドマン・サックス(GS)に入社したとき。次はGSを辞めてハーバード経営大学院(HBS)に留学したとき。最後はHBSを修了してマッキンゼー・アンド・カンパニーに就職したときです。いつも最初の3ヵ月を乗り切るのに必死だったことをよく覚えています。

ゴールドマン・サックスでは慣れるのに1年かかりました。

1ヵ月の新人研修の後、私はすぐにあるプロジェクトのメンバーとなりました。ゴールデンウィーク明けの金曜日の夜のことでした。上司から呼ばれた私は、翌週月曜日にクライアントへ提出するレポートの作成を命じられます。配属後いきなり週末の仕事の指示で、私はおおいに戸惑いました。

わからないなりに資料室にこもって調べ物をし、グラフを作るなどして何とかそれをまとめました。ところが月曜日に上司に見せたところ、フロア中に響くような大声で怒鳴られたのです。

「どうしようもないレポートだ。こんなものはまったく役に立たない」

いま振り返ると、新人に最初から完璧な仕事などできるわけがないと思う一方、わからないなら先輩に聞くなどすればよかったのでしょう。

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その後もこうした状況はしばらく続きます。ゴールドマン・サックスは同期が少なく、愚痴を言う相手もいなかったので、唯一ホッとできたのがトイレの個室です。ときどきそこにこもってはため息をつく日々を過ごしました。

1年ほど経ち、ようやく上司から「まあまあできるようになったな」と声をかけられます。これをきっかけに自分に自信が持て、他のプロジェクトにも誘われる好循環が生まれました。私に自信を与えようと、上司はあえて言葉をかけてくれたのでしょう。信頼を得るには仕事で地道に結果を出すしかないと学んだ時代でした。

 

強烈なプレッシャー

HBSでは授業中に発言することへの強烈なプレッシャーに悩まされました。授業中どれだけ発言できたかで成績が決まるのがHBSです。発言数が少なければ成績は下がり、進級できない学生もいます。

授業が始まって、初めて発言できるまで、私の場合は2日かかりました。1クラスは90人もいます。授業の冒頭から、皆ものすごい勢いで挙手するため、指名されるのは至難の業です。初日はまったく発言できないまま終わりました。ただでさえ非ネイティブの自分は、いつになったら発言できるのかと不安を抱えたまま、初日の夜を過ごしました。

けれども翌日、なんとか発言することができました。教授がこちらを向き、目と目が合ったタイミングでうまく手を挙げられたのです。初めての発言までたった2日でしたが、私の中では何ヵ月もの長い時間に思えました。その後も1学期が終わって成績が出るまで、プレッシャーとたたかう毎日が続きました。

マッキンゼーでは新卒のときの経験を生かし、まずは周囲との人間関係、信頼関係を築くことを心がけました。あいさつや自己紹介を大事にし、ランチの機会を利用してメンバーとコミュニケーションを深めました。

ただし真の意味での信頼を得るには、やはり仕事で結果を出さなければなりません。入社3ヵ月後のプロジェクト終了まで全力で仕事に取り組む毎日が続きました。