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東芝「逆ギレ」決算会見全内幕〜この期に及んで経営陣は「被害者面」

こんな会社を税金で助けて大丈夫か?
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株主集団訴訟が怖い

かといって、東芝経営陣にしても、決算発表を絶対に回避できない事情を抱えていた。

それは一瞬にして、彼らの人生を暗転させかねない「株主訴訟リスク」の存在である。

「今回、東芝経営陣が監査法人の適正意見をもらえなかったという理由で決算発表を再々々延期していたら、上場廃止は避けられない事態に陥っていたでしょう。そうなれば東芝株は市場で投げ売られて、紙くず同然になってしまう。

株を保有している個人投資家から機関投資家までが、『不当な損失を被った』として東芝経営陣を訴える訴訟ラッシュになる可能性があった。

実際、東芝の粉飾決算をめぐっては、損害を受けたとする個人株主が前経営陣に対して5億円超の損害を求める集団訴訟をすでに提起。

海外でも株主が同じように訴訟を起こしていて、仮に敗訴すれば個人としては支払いきれない額の賠償を負うことになる。場合によっては賠償額も何十億円、何百億円に膨らみかねない」(経済ジャーナリストの町田徹氏)

そんなことになれば、経営陣は個人破産へまっしぐらである。綱川社長らが会見でやたらと「株主にご迷惑をおかけすることはできない」と語っていたのも、こうした背景事情があった。

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いずれにしても、今後も東芝、監査法人両者の「歩み寄り」は困難で、このままいけば本決算もままならない。東芝の経営は窮地に追い込まれたわけだが、さらにここへきて、東芝の経営にとって重大な影響を与えかねない「新しい巨大リスク」が急浮上してきたのだから、たまったものではない。

「東芝は今後、インフラ事業とエネルギー事業を会社の柱にしていくと表明していますが、その事業の一部を行えなくなるリスクが出てきたのです。

というのも、これらの事業を行うには特定建設業の許可を国から受ける必要があるが、東芝がいま保有する許可の有効期限が12月で切れてしまう。許可の要件には財務条件があり、財務状況が悪化しているいまの東芝は条件をクリアできず、12月以降は許可を更新できないリスクが浮上してきた。

これは最悪の場合、インフラ事業、エネルギー事業の売上高全体の4分の1を失うほどのインパクトがある」(大手証券会社アナリスト)

すでに資金繰り危機にある東芝が、いよいよ追い詰められかねない事態というわけだが、それだけではない。

東芝は現在、半導体事業を売却して2兆円ほどの巨額資金を確保しようと画策しているが、実はこの半導体事業の売却に大きなハードルが出てきた。

「東芝と半導体事業で提携している米ウエスタンデジタル(WD)が、半導体事業の他社への売却は認められないとの意見書を東芝側に提出したのです。東芝にとっては、売却益の2兆円がなければ債務超過から抜け出せず、これまで描いてきた再建案が白紙にすらなりかねない」(前出・アナリスト)

 

そんな最大のピンチが訪れているのに、経営陣たちが悠長に「被害者面」をしていられるのは、最後は国が助けてくれるとでも高をくくっているからかもしれない。こんな会社を税金で助けて大丈夫なのか――。

「週刊現代」2017年4月29日号より