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東芝「逆ギレ」決算会見全内幕〜この期に及んで経営陣は「被害者面」

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巨大上場企業でありながら、監査法人のお墨付きを得ない決算を公表してなお、「自分たちは悪くない」というのだから、これは究極の開き直り……。名門・東芝の経営陣が袋小路に追い込まれた。

われわれは最善を尽くした

監査法人の「意見表明」が得られないまま、決算を発表する――。

4月11日、東京・浜松町の東芝本社39階の会議室で開かれた決算会見は、異常な様相を呈していた。

会見が始まる直前まで、出席していた記者、アナリストたちは、東芝経営陣が異例の決算にいたった事情について謝罪し、きちんと背景説明をするものだと待ち構えていた。

しかし、18時45分頃からいざ会見がスタートすると、まったく「想定外」の展開に発展し、会場は奇妙な静寂に包まれることになった。

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「登壇した東芝の綱川智社長、監査委員会委員長を務める佐藤良二取締役らが、『逆ギレ』したかのように、自分たちは悪くないという発言を連発し始めたのです」
と、出席者の一人は言う。

「最初にマイクの前に立ったのは綱川社長でしたが、はなから自分たちの責任に触れるどころか、驚くことに『最善を尽くした』などと語り出した。

さらに、これまでは監査法人に納得してもらうために2度も決算延期をしてきたが、今回ばかりはこれ以上延期しても、『適正意見の表明をいただける目途が立たない』と本音を吐露したのです。

つまり、自分たちは監査法人から求められるがままのことを実行しているのに、彼らがどういうわけか決算を認めてくれないという主張を繰り出したわけです。

続けて綱川社長は会社の経営状況について『実質的には十分な財務的基盤を保持している』と堂々と語り始め、その資金繰り改善のために『役員の報酬返上、役職者の給与減額、諸手当・日当などの削減といった施策を実施してまいりました』と主張。

年収カットを受け入れていると強調することで、自分たちがまるで被害者であるかのようにアピールし出した」

債務超過にある企業トップの発言とは思えないものだが、大きな声を張り上げるわけでもなく、無表情で淡々とこうした発言を繰り出すので、余計に不気味さが際立つ。次にマイクを受けた佐藤氏も同じく感情を表には出さないながら、逆ギレ発言を連発していった。

「3ヵ月以上にわたり独立監査人(監査法人)からいただいた度重なる示唆、ご指摘に対して監査委員会としては、真摯に調査を実施したうえで、すべて回答しております」

「調査の結果、連結財務諸表の数値に影響をおよぼす事象はなかったとの結論に至っております」

それなのに監査法人は決算を認めてくれないって、おかしいと思いませんか、みなさん――そう訴えかけんばかりに語り続けたのである。

 

会見2日前に起きた「事件」

会見では社長や監査委員長などが話し終えると、質疑応答の段に入った。出席者からは堰を切ったように、「監査法人の承認がないのに決算を公表するのは無理がある」

「これが決算と呼べるのか」などの質問が飛んだが、綱川社長らは、

「(監査法人とは)ズレがある」

「これ以上、同じことを続けても意味がない」

などと答えるばかり。経営陣の責任を問う質問を浴びても、「被害者」の立場を貫いた。

別の出席者も言う。

「綱川社長は今回の決算について、『自信のある数字』だと言い張り、それをどうして監査法人が認めないのかさっぱり理解できないという態度を隠そうともしなかった。

東芝は5月に本決算を発表しなければいけませんが、綱川社長はこの本決算ですら、監査法人の承認を得ないまま発表する可能性があるとほのめかす始末。

しかし、株式市場に上場している巨大企業が、このまま監査法人の承認を得ないで本決算まで済ませようとするのはあり得ない話。もはや開き直っているようにしか映らなかった」

結局、要領を得ないまま、会見は終了。納得ができない出席者からは「質問!」などと声が飛び交う中、その声を無視して質問は打ち切られ、綱川社長はどこかやり遂げたような表情で会見場を後にしたのである。