格差・貧困 経済・財政 ライフ
ホストの売掛金を踏み倒し、泥沼にハマった23歳女のやるせない事情
オンナの収支報告書【17】
鈴木 涼美 プロフィール

レナちゃんの場合

確信犯の中でも本当に払う気などさらさらなくお金を使うほんの一握りの人を除くと、その場の雰囲気に負けてついつい高額のシャンパンなどを頼んでしまい、「まぁでも最悪、なんとかなる」とやや楽観的に考えて、なんとかならずに飛んでしまう、あるいは本当に微々たる金額を毎月毎月返し続けている、うっかりした子たちがほとんどで、レナちゃんはまさにそういうタイプであった。

そもそも当時23歳だった彼女には全く収入がないわけではなく、それどころか高収入の月には200万円以上稼いでいたこともある風俗嬢で、もともとは自分の稼ぎの範囲内で、ホストクラブやら飲み会やら買い物やらをそれなりに楽しんでいた。

その頃から、毎回現金支払いをするのではなく、売り掛けで飲んで、次回来店の際や、月初に担当ホストに会う時などに支払うという飲み方ではあった。ただ、ごくたまに2〜3万漏らすことはあってもそれは次の週にでも払うことは可能だったし、そもそも手持ちのお金が全くゼロになるような無謀な掛けは作らなかった。

彼女が飛びぐせを発揮し出したのは、22歳の終わり頃である。それまでは仲の良い友人と2人で行くことが多かったホストクラブに自分1人で行く頻度が増えた。

きっかけはとある中堅店の代表を務めるホストに思いのほか入れ込んで、しかも彼がどちらかというと友人らと連れ立ってくるよりも、1人で来て1人で帰ることの方を歓迎するタイプだったからである。

彼はレナちゃんが、あまり友達と遊ぶ時間を確保することがないよう彼女の生活を束縛した。友人と遊ぶ頻度が少なくなった彼女は余計にその代表ホストの言うなりになり、それに比例して彼への執着も強くなった。

彼には、他に高額を使う客が2人いたのだが、そのうちの1人があまり店に来なくなり、そのぶんレナちゃんが店に行くと、代表くんは喜んでアフターやお泊りに誘ってくれた。

結局、彼女はほとんど毎日のように彼の店に入り浸り、週に2回は彼とホテルに泊まり、ほとんど仕事に行かなくなっていた。そのタイミングであった彼のバースデーを祝うイベントで作った130万円ほどの売り掛けは、全く返す目処の立っていないものだった。

「後で返そう」って一応思うらしい

「なんか、エース切れてイベント大丈夫なの?って私が言って、大丈夫じゃないよ、みたいな。で、タワーやるとしたらいくらくらいなら顔が立つかみたいな話になって、私は100なら頑張れるって言ったんだけど、150で、その代わりちょっとずつ返せればいいって話になった。

150はもうその日までっていうか次の月の初めの入金日までとかでも結構無謀だから、でも10日で100なんとか作って、50はあとでって思った。結局、出勤しようと思った日もお店行ったり泊まってそのまま一緒にいたり、で稼げなかったんだけど」

入金日に用意できたのはたったの10万円、それでも比較的お金に余裕のあるホストだった代表くんは、少しずつ返してくれればいい、それよりこれからも店に来てくれる方が嬉しいと言ってくれていた。

3ヵ月ほどは彼の言う通り、ものすごく少額ずつ売掛金を返した。借金があると思うと稼がなくちゃいけないと言う焦りばかりが募って、逆にしっかり仕事をする気になれなかった。

さすがにこれ以上借金が増えるのは嫌で、彼の店に行く頻度は減り、そのぶんだけ彼と一緒に過ごしたり電話したりする時間も減った。

「10万手元にあったら、お店行けば結構ちゃんと飲めるし、その辺の客よりお金使えるのに、返済に回すとなるとお店行っても安くしか飲めなくて、つまんない。

被り客よりも私の方が全体として見たらお金使ってるのに、その日にお金使える向こうがちやほやされるのも切ない」