国債金利の上昇によって日本は復活する。震災復興には資金を惜しまず投入せよ。
三國陽夫氏に聞く

三國陽夫氏

インタビュアー:ジャーナリスト・磯山友幸

磯山: 日本経済は厳しい局面が続いていましたが、そこに東日本大震災が起き、復興という重荷が加わりました。

三國: 大震災を日本経済が立ち直るきっかけにすることです。住宅、商店街、公共施設や道路、防波堤などを単に「復旧」するだけでなく、より良いものに作り替える「復興」です。そのための大規模な財政支出と減税を、国内景気が冷え込まないうちに一刻も早く実行することが必要です。菅直人首相の手腕の良し悪しの議論は後にして、とにかく政治主導で政府がおカネを使うことでしょう。

 住宅ローンや事業用資産の借入金が残っていて新たにスタートするための借り入れができない、いわゆる「二重ローン問題」が指摘されています。そうした債権も政府が保証など何らかの肩代わりをします。加えて政策金融もあります。借り手が元利を支払えるためには、事業者の売り上げ増、個人の所得増が不可欠です。日本経済のエンジンが一気に回り始めるまで惜しみなく資金を投入することです。

磯山: 為替が円高基調になり、輸出産業の苦戦による日本経済への影響を懸念する声もあります。

三國: サプライチェーンの寸断が長引いており、輸出の落ち込みは避けられないでしょう。これを機に日本の経常収支の黒字は消滅に向かうことになると思います。しかし、これは日本にとって決して悪いことではありません。

磯山: 「黒字亡国」論ですね。三國さんの長年のご主張で、文春新書にご著書もあります。

三國: ええ。これまで日本は経常黒字分を、円安誘導の目的で資本輸出してきました。通貨機能を海外に移転してきたのです。国内におカネが回れば「乗数効果」が働き、次から次へと経済拡大効果を生みますが、資本輸出をすると国内で信用創出をしても乗数効果が生じません。この状況を90年以降恒常的に続けてきたのですから、「失われた20年」は当然です。