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病気のほとんどは歩けば治る!? 日本人が知らない「健康の真実」
「歩けなくなる人」その兆候と対策
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歩けるうちにとにかく歩く

骨粗鬆症と近い病気ではサルコペニア症がある。前者が女性に多い病気であるのに対し、サルコペニアは男性に多い。

「これは加齢や疾患により筋肉が年相応以上に減ってしまう病気です。足の筋肉が減り、足腰が弱くなって転びやすくなってしまいます。

足が極端に細い、歩くスピードが遅いという人はサルコペニアの可能性があるので早めに対策をしたほうがいい。具体的には積極的にたんぱく質やビタミンDを摂って、筋トレをすることです」(宮田氏)

 

ビタミンDは魚類、卵の黄身などに多く含まれる栄養素だが、紫外線を浴びることによって皮膚でも合成される。

食事に関しては他にも面白いデータがある。納豆の消費量と骨折の発生率には相関関係があり、納豆の消費量が少ない西日本のほうが骨折する人の割合が多いのだ。納豆にはビタミンKというカルシウムの骨への沈着を助ける栄養素が多く含まれているのだ。

100歳になっても元気に歩ける人は、どんな食生活を送っているのか。

今年103歳になるが、片道歩いて30分の買い物もいとわない山口県在住の長岡三重子さんの食生活を覗いてみよう。長岡さんの長男が語る。

「食事は一日2回。朝ごはんのおかずは生のお刺身が多いですね。煮たり焼いたりしたものはあまり食べません。晩にはすき焼きか焼肉が多い。牛肉が好きで豚や鶏肉はあまり食べません」

東京都在住の田谷きみさん(103歳)は「豆類が好きでよく食べる」という。

「自家製のぬか漬け、梅干しも欠かしません。特に気を付けていることといえば、カルシウムの摂取。ヨーグルトやチーズ、カルシウムの入ったウェハースなどを食べます」

やはり、たんぱく質やカルシウムの摂取量がポイントになるようだ。

自分が歩けなくなる状態にどこまで近づいているか、チェックする方法もある。

日本整形外科学会が'07年に提唱した概念に「ロコモティブ・シンドローム」がある。これは骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、歩行や立ったり座ったりするなどの日常的な動作に障害がある状態を指す。記事末のチェックリストを利用して自分の体力の衰えを把握しよう。

「ロコモティブは歩けなくなる人の予備軍です。歩けることは歩けるけれどフラフラしてしまう。こういう人たちが歩けなくなる前にトレーニングをして、しっかり歩けるようにして、要支援の人が要介護にならないようにしようという動きがこの4月から始まりました。

国が各自治体に号令をかけて、各地で老人体操教室が開かれるようになっているのです。このような教室に通うことは歩行不能予備軍から抜け出すのに有効だと思います」(前出の長尾氏)

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結局、歩けなくならないための対策としては、歩けるうちに、正しい歩き方で歩き続けることがいちばんだ。

「まずはこまめに歩くことです。タクシーの短距離が400円ちょっとからと安くなったために、短い距離でもタクシーを利用する高齢者が増えていますが、歩く体力がある限りは100mでもいいので自分の足で歩く。

歩くことで血流がよくなって脳が活性化する。手を振りながら歩けば、胸や背中の筋肉も使うことになり、全身運動ができる。駅の階段も無料のフィットネスだと思えばいい」(長尾氏)

普段意識することはないだろうが、自分が自分の足で歩ける幸せをかみしめて積極的に運動すれば、寝たきり生活はおのずから遠ざかっていくに違いない。