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ときどき死にたくなるあなたへ…坂口恭平の新政府総理談話(1)

熊本大地震から1年が過ぎて
熊本大地震から1年が過ぎた。あのとき避難所で鬱になり、即座に熊本から脱出した「新政府」内閣総理大臣の坂口恭平は、今どこで、何を考えているのか。被災当時を振り返って何を思うのか…。現代ビジネス編集部に前触れなく届けられた原稿(その原稿に坂口が添えていたタイトルは「09081064666」というものだった)を一挙大公開!!

【*被災直後に書かれた生々しいリアルタイム・ドキュメント「熊本脱出記」はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48475

いのっちの電話

09081064666とは僕の携帯電話番号だ。

僕はこの電話を使って「いのっちの電話」を開設している。

僕は自殺したいとよく思う。

ところが、自殺したい、と思わなくなる瞬間も訪れる。

自殺したいという感情は周期的に襲ってくるようだ。それなら、慣れてくれてもよさそうだが、毎回、死にたいと思っているときはやはりきつい。慣れることはできない。だから毎年、多くの人が自殺しているんだろう。

僕は自殺を否定しているわけではない。なぜなら、僕もいまだに自殺したいと感じているからだ。しかし「今、自殺しなくてよかったかもしれない」と思うときがある。

どうしてこんな風に死にたくなってしまうのか。自分でもわからない謎でもある。この謎は僕が一番考えたいことだ。

同時に、僕は自殺者をゼロにしたいとも考えている。

自殺したいという思考はそのままに、それでも死なずに、生きていくことはできないものか。

09081064666にはたくさんの自殺したい人からの電話がかかってくる。毎年2000人近くの電話に出ているのではないだろうか。僕が所用で出られないときは、電話を折り返す。

本家「いのちの電話」は7%しかつながらないと新聞で読んだことがある。僕の場合は一応、100%かかる。

 

2012年からはじめて今年で6年目に入る。

2012年まではこの国の年間自殺者は3万人を超えていたが、僕が「いのっちの電話」をはじめてからというもの、統計的には約2000人ずつ毎年減っている。もしかして少しは効果があるのかもしれないと僕は勝手に思っている。本家の電話は相変わらずつながらないのだから、そう考えてもおかしくないだろう。

いつでも直通電話をかけることができる。

これが2011年、東日本大震災であらわになった「現政府」の機能不全を前に、勝手に「新政府」を立ち上げた僕が唯一行っている政治行動である。

元気な人は好き勝手にやればいい。僕もできるだけ人と関わらずに好き勝手に生きていきたい。全員に税金払えと言ってくる国家はどうも信用できない。

現政府に文句があるなら、勝手につくっちゃえばいい! 東日本大震災後に熊本に新政府を設立した坂口恭平の思考と実践

それでも僕は、自殺したいと苦しんでいる人に関してだけは興味を持っている。

助けたい、と思っているわけではない。そんなことは不可能だと思う。僕だって死にたいと思っているのだから。

しかし、自殺したいと思うこれは一体なんなのか。本当に自殺すれば済むのか。