企業・経営
タバコが売れないなか、なぜJTは営業利益を伸ばせるのか?
「販促費の圧縮」に秘密アリ…?

営業利益はなぜ増えている?

フィリップモリスが開発したiQOSの大ヒットに、健康増進法改正案によって飲食店は原則禁煙となるなど、JTにとっては苦しい状況が続いています。JTの国内シェアは2008年度に65%でしたが、2011年の震災を機に60%前後に落ち込み、現在もおおよそそのままの水準で推移しています。

JTにとってより頭が痛いのは、市場全体のタバコの販売数量の方です。JTの国内市場の販売本数は2008年度約1600億本だったのに対して、2016年は1062億本と3割以上減っています。消費税が8%になった2014年度には820億本にまで減りました。そのときよりは回復しているとはいえ、これは深刻です。

これだけ市場が縮小すれば、JTの業績も相当に落ち込んでいると想像してしまいそうですが、意外にもそうでもありません。国内市場における営業利益は2008年度の1882億円に対して、2016年は2602億円と、約720億円も増額していました。

「タバコは国内では終わっているから海外に勝負をかけている」というイメージを抱いている人も多いでしょうが、利益から見ると反対に儲かっているわけです。市場が縮小し売り上げが減少する中で、増益を実現しているのはなぜでしょうか。

ひと言で言えば、販売の減少を、経営努力によってカバーしているということです。一般的な製造業で考えられるのは原材料コストの削減ですが、詳細データが開示されていませんので、本稿では詳しくは触れません。

 

それに対しはっきりしているのが、人件費の圧縮です。

2010年度におけるJT単体の平均給与は約856万円で、国内タバコ部門の従事者は約7,650人でした。それが2015年は6,020人に減少。二割以上の人員削減を行っているのです。ただ、平均給与は約891万円と上がっています。残った社員に頑張ってもらうためには給与は減らせなかったのでしょう。

それでも、単純計算では856万円×7650人-891万円×6020人で122億円ですから、利益の増額分720億円のうち2割弱は人員削減によるものと考えられ、かなりの経営努力をしたと見てとれます。

しかし、それでもまだ利益の増加分のうち600億円が足りません。この利益はどうやって捻出されたのか。結論から言えばそのカギが「協賛金」にあるのではないかと推測されます。

協賛金とは、タバコメーカーがタバコの販売を拡充するために必要な設備や備品について、必要な費用を支援したり、あるいは現物支給したりする仕組みです。

業界関係者によると、人口データをはじめとして商圏の様々なデータがストックされているため、実績データや立地条件に基づいて、各社独自に各店舗に振り向けられる協賛金の金額が細かく計算されていたようです。JTが支援すればタバコ店は極力JT製品をプッシュしますし、フィリップモリスが支援すれば同様のことが起こるため、魅力的な商圏にある店舗では各社が争って協賛金を出していた時代も、過去にはあったと聞いています。

この協賛金について、ほとんど語られたことはありません。具体的な金額も公表されていないのですが、ある程度の推測は可能です。