企業・経営

三越伊勢丹「恐怖の追い出し部屋」でいま起きていること

前社長派は戦々恐々…
週刊現代 プロフィール
Photo by GettyImages

「なんで俺なんだよ」

「これまでは、降格などの可能性がある場合、事前に『警告』が発され、業務が改善するかどうかの経過観察が行われたうえで、どうしようもなければ降格させられていました。それがいきなりこんなことになって……。

サポートチームに追いやられた私の同僚は、4月3日、日本橋のオフィスへ出社した後、午前中にごく簡単なオリエンテーションを受け、さっそく三越日本橋本店の売り場の『お手伝い』をさせられたようです。

それまでお得意様の営業をやっていた奴が、新入社員がやるような棚の整理なんかをやらされる。『なんで俺なんだよ。もっとほかに来るべき奴がいるだろ』と嘆いていました」(前出・中堅社員)

同社を取材すると、コーポレートコミュニケーションの担当者は、

「サポートチームは、各部署への適正な要員配置と生産性向上のため導入したもの。後方部門の社員が、繁忙期に店頭営業の応援に入る機会が増えており、これを抑制したり、外部委託を止めて営業周辺業務を専任化・内製化したりするためです。従業員の雇用確保を大原則としています」

と「追い出し部屋」を否定した。

突然降格を告げられ、閑職に回される――この状況に、社員であれば誰もが不安を抱くだろうが、中でもとくに戦々恐々としているのが、大西前社長と親しくしていた社員たちだという。

3月の中旬に発表された役員以上の幹部人事では、大西氏と近かった幹部が露骨に会社の中枢から遠ざけられ、大粛清の様相を呈していた。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の店長が交代させられるなど、オセロの黒と白が裏返るように、大西色が排除されていった。

 

「幹部の粛清人事は本当に露骨でえげつない。こうした人事の後で、『追い出し部屋』の件が持ち上がったので、社内では『大西派』の社員がそこに行かされているのではないか、という見方も出ています。

三越伊勢丹の部長職は、一般的な会社と同様、役員のすぐ下に位置する役職で、同期入社のうち1割ほどしかなれません。そんな出世コースを歩んでいた社員が、いきなり管理職の身分を奪われ、販売応援をする部署に飛ばされるんですから、『どんな役職の人間も容赦はしない』というメッセージにも受け取れます。

せっかく出世しても、ついていた上司を間違えただけで左遷かと思うと、やるせないですよ」(同社の幹部社員)

コストカットが加速することは、クーデターの時点で不可避だったと言える。そもそも大西氏はなかなか人員削減をできないタイプだった。大西氏に複数回インタビュー経験がある、ファッションジャーナリストの南充浩氏が言う。

「大西さんは、三越と伊勢丹の合併時にバックオフィスの人間が増えすぎてしまったことはよく認識しており、減らさなければならないと考えていました。しかし温厚なタイプの大西さんは結局、人員削減には踏み切れずにいた。

むしろ、旅行会社を買うなど新規事業に力を入れることで、百貨店の売り上げをカバーしようとする意識が強かったのです」