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政治政策 政局
二階幹事長が激怒した「都議会公明党の小池への接近」の舞台裏
ついに自公連立に亀裂が…?

東京都議選(6月23日告示、7月2日投票)を控え、公明党は自民党との選挙協力を打ち切り、東京都知事・小池百合子が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」との選挙協力に踏み切った。このことが国政で連立を組む自民、公明両党関係に深刻な影響を与えている。

政策の対立なら、話し合って妥協点を見いだすことができるし、ある政策で譲りすぎたとなれば、別の政策で譲歩させるといった取引が可能だ。しかし、選挙における対決は敵、味方がはっきりと分かれ、感情的になって後々までしこりを残すことになる。

公明党はなぜ、自民党と敵対する行動に踏み切ったのか。勝算はあるのか?

自民党への「離縁状」

都民ファーストの会と都議会公明党は3月13日、それぞれの候補者を相互に推薦する選挙協力を行うことで合意したと発表した。その3日前の同10日、公明党東京都本部は幹事会で、 都民ファーストの会と都議選で相互推薦する方針を決定した。

この決定直後、公明党は手分けして自民党の幹事長・二階俊博、選対委員長・古屋圭司、都連会長・下村博文にそれぞれのレベルで伝えた。その内容は「都本部が決めたので、ご理解願いたい。これはあくまで、都議選の協力だけで国政における自民党との協力は揺るぎがない」ということだった。

協議する姿勢ではなく、結論を伝える、ただそれだけだった。自民党にとっては「寝耳に水」。まるで、いきなり「離縁状」をたたき付けられたようなものだ。

公明党幹事長・井上義久は二階と、自民党本部近くの鰻屋で食事しながら伝えた。その時間はわずか30分。二階は今月4日付読売新聞朝刊でインタビューに答え、不快感をあらわにした。

「小池さんの支持率を見て、一緒に組んでいくのがいいと考えておられるのか、わかりませんが、我々は公明党の幹部から、そういうことを一言半句聞いたことがありません。今日に至るまで」

井上は説明している。それでも、二階が「聞いていない」と話すのは、まったく納得しなかったことを物語っている。

 

首相・安倍晋三には、公明党元代表・太田昭宏が3月9日夕、首相官邸で会って伝えた。安倍のカウンターパートは本来、代表・山口那津男のはずだ。しかし、二人は腹を割って話せる関係ではない。 公明党は自民党が不快に思うに違いない方針の説明を太田に託した。

安倍と二階は同14日、官邸で対応を協議。二階はこうたんかを切った。

「こうなったら、公明党の支援がなくてどこまでやれるか、やってみたらいいじゃないですか」

会合で居眠りすることもある二階は、戦の局面になると、その舌鋒ががぜん迫力を帯びる。安倍もこの方針を了承し、都議選応援の遊説を行うことを決意した。

現在の自公関係がたびたびぎくしゃくするのは、党首同士、幹事長同士が率直に話し合えていないことに一因がある。カジノ解禁を柱とする統合型リゾート(IR)推進法や、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の処理などで、山口や井上は安倍の真意を読み取れていない。

山口が党代表に、井上が幹事長に就任したのは2009年9月。山口は太田が同8月の衆院選で落選したため、ピンチヒッターとして起用された。民主党政権下で、旧民主党(現在の民進党)とも接触し、自民党総裁は同じ弁護士出身の谷垣禎一だった。山口は谷垣とはウマが合った。