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英語

一生モノの英語力を身につける方法は、結局ひとつしかない

もし本気で学びたいなら…

「一生モノの英語力」とは何か

これまでに私は、『一生モノの英文法』など、4冊の英文法書を発表してきました。各種の英語学習書のうち、文法書の制作を最優先させたのには明確な理由があります。

後述するように、文法習得こそが外国語学習における中心の課題であるがゆえ、質の高い英文法書を作り上げることが、多くの英語学習者の学力向上に寄与すると考えたからです。

ただ一方で、理想の英語学習法を構築することにも長く取り組んできました。この取り組みの元には、教材が作成できるだけでなく、教授法のグランドデザインが描けてこそ真の教務者なのだという信念がありました。

そしてこのたびようやくその体系が完成し、『一生モノの英語力を身につけるたったひとつの学習法』として上梓しました。

英語学習においては、ある点を境にして、そこから加速度的に学習効率が上がります。その点とは、「辞書さえあれば、ほとんどの英文が理解できる」という力を獲得した時点です。

これは中級者の仲間入りを果たした時点でもあります。ここまで到達すれば、あとは自力で良質の学習を大量に進めていくことができるのです。

本書の執筆に際し、私はこの英語力を「一生モノの英語力」と定義し、初学者が確実にこの力を獲得するための学習法を追求しました。

とはいえ、そのような方法論をたやすく完成させることなどできません。

そもそも英語学習の世界においては、右も左もわからない初級者を中級以上に引き上げるのは極めて困難なことです。これは他の学科やスポーツ、文化活動、あるいは皆さんが現在、活躍していらっしゃるビジネスの世界でも同じではないでしょうか。

悩めるビギナーに対して、内実を伴った大きな手応えを与えることは実に難しいことであるはずです。よって、偽りのない本物の学習法を求めるのなら、細心の注意を払いながら丁寧に体系を作り上げていかなくてはなりません。

その「細心の注意」については、本書のはしがきに4つの注意点として記したのですが、今回の体系構築に際しては特に、より根源的な戒めがありました。それは「現状を正確に見極める」ということです。

 

英語の劇的な難しさ

何を為すにもまずは、目の前にある事態を正しくとらえることが、全ての土台となるはずです。

いい絵を描くには、その前提として、対象を客観的に観察しなくてはなりません。おいしい料理を作るには、まずは素材の特性を正しく把握する必要があります。

同じことは、学習法を生み出す際にもあてはまります。

真なる英語学習法の創造に挑むのなら、その出発点において「日本語話者にとって英語とはどのような言語なのか」「一般の学習者の英語力はどのようなものなのか」「読む・聴く・書く・話すの4技能はどのような関係にあるのか」などといったことを正しく見極める必要があるのです。

英語および英語学習に関しては、現在いくつかの誤った認識が広く流布しています。その代表例として、次の3つのものが挙げられます。

(1) 英語をマスターするのは極端に難しいことではない。

(2) 日本の学校英語教育では、文法と読解に時間をかけすぎているので、日本人は英語を読むことはできても話せない。

(3) これからは「話す英語」の時代、「コミュニケーション英語」の時代だ。

しばしば「英語は、皆さんが考えるほど難しい言葉ではないのです」といったような言葉が聞かれます。また、時に「英語なんてカンタンだ」というような広告文句さえ目にします。

ところが、これは明らかに誤った認識です。