〔PHOTO〕gettyimages
人口・少子高齢化 企業・経営 行政・自治体
なぜ地方都市に「TSUTAYA図書館」が次々とつくられているのか?
人口減少と消費社会化のなかで…

地方を捨て、仲間を見返すため勉強する場所

今年も4月になり、新たな学生や社会人が大都市に出てくる。彼・彼女たちはいかなる図書館経験をしてきたのだろうか。

私のことをいえば、地方都市の古びた図書館での受験勉強がその後、長く図書館に「居つく」きっかけになった。

考えてみれば、地方の図書館は不思議だ。定年退職後に時間をつぶす高齢者はもちろんだが、第二次ベビーブームのさなかに生まれた私の若いときは、高校生がむしろ多くたむろしていた。

自分の過ごした地方を捨て、親を超え、仲間を見返すため勉強すること。図書館は、それを鷹揚にも許してくれる。

その是非はたしかに議論されてもよい。近年(実は昔から)、中高生が図書館の席を「占拠」することが、しばしば問題になっている。とはいえ、今なおゲリラのように、受験生たちが少ないスペースを奪い合い、勉強している姿がみられることは同じである。

図書館は、そうして地方が地方を否定する「穴」になりながら、今年の春も多くの人びとを大都市に送り出してきた。

〔PHOTO〕iStock

TSUTAYA図書館のラッシュ

ひとつにはこうした受験生たちのニーズに後押しされ、近年、図書館での「滞在」に対する関心が高まっている。それを象徴するのが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の手がけたいわゆる「TSUTAYA図書館」の人気である。

飲料物の持ち込みを許し、音楽を小さく流す。休館日を極力減らし、開館時間を夜間まで延長する。座り心地の良い椅子を用意し、また直感的に手に取りやすい形で本を並べる。

そうした工夫を積み重ねた図書館が、2013年の佐賀県武雄市を初めとして、以降、2014年、2016年、2017年に神奈川県海老名市、宮城県多賀城市、岡山県高梁市に造られ、話題になっている。

単純化すれば、それらの工夫は、利用者に「滞在」しやすい環境を実現するものといえよう。本を読むだけではなく、勉強や思索、さらにおしゃべりなど思い思いの時間を過ごすこと。店舗経営で得たノウハウをつぎ込むことで、TSUTAYA図書館は利用者が長い時間、居やすい場所をつくりだそうとしているのである。