*写真はイメージです。Photo by iStock
企業・経営

「モスバーガー」が目指すはハンバーガー界のイチロー?

中村栄輔社長の経営哲学

1972年、東京・成増駅近くにわずか2・8坪のハンバーガーショップがオープンした。栄養バランスを考えて輪切りのトマトを大胆に使い「日本人は味に敏感だから」と注文を受けてから作る「アフターオーダー方式」を採用。店は人気を得て全国展開を始めた―。

今回は「モスバーガー」を運営する、モスフードサービス・中村栄輔社長(58歳)を取材した。

モスフードサービスの中村栄輔社長

働く人の笑顔が気になる

【丁寧に】

元々、モスバーガーの常連客だったんです。昭和52年3月に上京し、世田谷の店で初めて食べた瞬間「うん、こりゃうまい」と3回言った覚えがあります。

次から興味を持ってオープンキッチンを見てみると、肉とバンズを焼いて輪切りのトマトをのせ……と、ちゃんと調理している。でもできあがって「あれが僕のかな?」と思うと違うお客さんのところに行っちゃったりしてね(笑)。

そんなことをしているうち、店員さんと「浪人生なんです」などと話すようになり、すっかりファンになってしまいました。

当時のお店の人には、今も感謝し、見習いたいと思っています。日常の仕事、一つひとつを大切にしているから、一瞬の出会いがある。そういったことに私は惹かれました。

今もこっそりモスに行き「商品開発のときに食べた味どおりかな?」などと、お店の人から気付かれないように食べています。なかでも気にするのは働く人の表情。キャスト(店員)向けの機関誌に「お店を綺麗に」と書けばよいお店になるわけではありません。

 

お店の人が「モスで働く時間は楽しい」と感じ、それがお客さんに伝わって、初めてよい店になる。そもそも、同じ価値観を共有して働いている人が何人いるかが、その会社の力。だから「みんなモスが好きかな?」と気になるんです。

【提案】

法務畑を歩み、営業本部で地域限定商品の開発等に携わりました。そこで学んだのは、コミュニケーションの重要性です。たとえば九州地区の加盟店から提案を受け、宮崎県の霧島黒豚を使ったメンチカツや宮崎名物・チキン南蛮をはさんだ商品をつくると、これがよく売れたんです。

最近はキャストさんのアイデアを元に商品を開発することもあります。ただ、現場の声を聞くだけでは足りません。本部は、もらったアイデアをレシピにして、現場で手間のかかるものでも「この手順は守って下さい」と指導することも仕事です。

ボトムアップがいい、トップダウンがいい、という話でなく、コミュニケーションが闊達な状態が一番いい。だから私は、加盟店さんの会や店長会にいつも顔を出しています。

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