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野球
寄せ集めの侍JAPANを一枚岩に変えた青木のハイタッチ
これがチームを勢いづけた

チームを救った青木のビッグプレイ

ここ一番でタイムリーヒットを放ったり、チームを救うようなファインプレーを演じた選手がベンチで他の選手やコーチとハイタッチをかわすシーンをよく目にします。

最近ではプロ野球だけでなく、アマチュアの試合でも見受けられるようになりました。好プレーを演じた選手を称える儀式のように映りますが、ハイタッチの効果は、それだけではなさそうです。

いささか旧聞に属する話ですが、米国の初優勝で終わった第4回WBC、1次ラウンド、2次ラウンドを侍ジャパン(野球日本代表)は全勝で勝ち上がりました。

最大の関門といわれていたのが1次ラウンドB組初戦のキューバ戦でした。

結論から言えば11対6で侍ジャパンはキューバに打ち勝ちました。キューバに傾きかけた流れをくい止めたのが3回表、1死三塁で飛び出したセンター青木宣親選手(アストロズ)のビッグプレーでした。

2番アレクサンダー・アヤラ選手の打球は右中間最深部へ。抜ければ1対1の同点に追いつかれ、さらにスコアリング・ポジションにランナーを残すという大ピンチです。

これを青木選手は懸命に追い、ジャンプ一番、好捕しました。グラブの土手でキャッチするという間一髪のプレーでした。

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犠牲フライで1点は失いましたが、立ち上がりから不安定だった先発の石川歩投手(千葉ロッテ)は胸を撫で下ろしたことでしょう。

ハイタッチで一枚岩に

ベンチに帰るなり、青木選手はチームメイトやコーチたちとハイタッチをかわしました。このハイタッチが「チームを勢いづけた」という話を、過日、ピッチングコーチの権藤博さんから聞きました。

「普通はパンパンという程度でしょう。ところが青木の場合、バーン、バーン!と、ものすごく気合が入っているんです。僕も手を出したけど、あんな強いのは初めて。口には出さないけど、“オー、行くぞ!”というメッセージが込もっていました」

 

WBC本大会の6試合で3番を任された青木選手、打率1割8分2厘、0本塁打、2打点と結果はイマイチでした。だが権藤さんは「アイツの場合、打つ打たないは関係なかった」と言います。

「あのハイタッチがあったからか、青木が凡打しても、文句をいうやつはひとりもいなかった。“3番をはずせ”というコーチもいなかったね。それは、あのハイタッチひとつで寄せ集めチームが一枚岩になったからですよ。彼の存在は本当に大きかった」

ペナントレースが開幕しました。スタートダッシュに成功したのは、セ・リーグは巨人、パ・リーグは福岡ソフトバンクです。

権藤さんの話を聞き、今季は日頃、見過ごされがちなハイタッチに注目してみようかと思っています。強いチームにはムードメーカーが必要です。