企業・経営

新体制の日産は自動車業界大再編の「台風の目」になる

西川新社長の経営方針を読み解く

ゴーンと比べた印象

4月1日付で日産自動車の社長兼CEOに就任した西川廣人氏(略歴は末尾参照)が3日、複数のメディアとの共同インタビューに応じ、3つの大きな経営方針を示した。

まず、①変化の激しい時代をチャンスととらえ、車のインテリジェント化や電動化面で、もともとある「技術の日産」というDNAを新しい商品に活かしていく、②ゴーン氏が遺したダイバシティーを引き継いでいく――の2点を掲げた。

注目すべきは3点目、業界再編を意識した発言だ。

西川氏は「日産―ルノー連合」に3社目の三菱自動車が傘下に入ったことを挙げ、

「これから10年、大きく変わる。日産が経営危機に陥ってルノー提携してこれまで受け身の面もあったが、今後は日産がアライアンスの中核となって引っ張り、着実に進化、成長させていく。(アライアンスに入る)4番目、5番目の会社が出るかもしれない」

などと語り、さらなる提携・買収戦略を仕掛ける可能性を示唆した。

さらに西川氏は「三菱自動車をアライアンスに加えたことは大きな出来事。これを機会に仕事をストレッチしないといけない」とも述べた。

日産の社内用語で「ストレッチ」は挑戦的な目標に進むとか、もっと上のステージを狙うといった意味がある。提携・買収戦略によって、規模拡大を狙うと受け止めることもできる。

共同インタビューに応じる西川社長

西川氏が社長兼CEOに就いたことで、ゴーン氏は代表権を持つ会長になった。これについては「ゴーンさんの役割もシフトしていく」と西川氏は述べた。

これは、日産の日常のオペレーションは西川氏が文字通り最高経営責任者として判断して責任を持って足元の業績を向上させながら、ゴーン氏は一段高いところから「日産・ルノー・三菱」連合を俯瞰しながら、提携・買収などの戦略を練る立場に移ったということだ。

いわばゴーン氏が、3社の持ち株会社のトップ的な位置に就いたという意味でもある。

 

インタビューの中で西川氏は「技術の日産」という言葉を何度も繰り返した。日産は電気自動車(EV)で先陣を切り、自動運転でも、昨年夏にミニバン「セレナ」に大衆車としては世界初の自動運転機能を搭載して発売した。「車の電動化、知能化を日産の『顔』にしながら、車のお届け方も含めて革新的なサービスをしていきたい」と西川氏は述べた。

今後の経営課題について西川氏は「インドネシアやインド、ロシアに先行投資したが、まだ投資を回収できていない」と語った。新興国で新たに導入した「ダットサン」ブランドが低空飛行を続けており、てこ入れを行うと見られる。

さらに課題については「小型車の収益性向上が宿題」とも述べた。軽自動車の設計、生産ノウハウを持つ三菱自動車を傘下に収めたことで、こうしたアライアンスを通じて解決を図っていくのではないかと見られる。

Photo by GettyImages

これまで日産のトップと言えば、良くも悪くも「ゴーン」のイメージで、カリスマ性が強かった。そのゴーン氏に比べれば影が薄いのは否めないが、インタビューを通じて見えた「西川像」は「基本に忠実」「確かな分析力」といったイメージだった。

ただ、グローバルで約24万人の社員を抱える大企業である日産という組織を束ねていくには、多くの現場の社員にとって「求心力」となっていかなければならない面もある。エモーショナルな面でも西川氏は日産社員を引っ張っていく立場になったわけで、その点は今後の課題なのかもしれない。

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