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米ウーバーが実践する「生産性向上テクニック」とは?

運転手をやる気にさせる「あの手この手」

米国の配車サービス大手ウーバー(Uber)は、いかにしてフリーランス運転手をコントロールしているのか? 心理学や行動科学の研究成果を取り入れた、その巧妙なテクニックが最近、ニューヨーク・タイムズ紙によって報じられ、注目を浴びている。

●“How Uber Uses Psychological Tricks to Push Its Drivers' Buttons” The New York Times, APRIL 2, 2017

命令ではなく、自主的に働かせるには

改めて言うまでもなく、ウーバーの運転手は同社の社員ではない。いわゆる独立自営業者に該当するフリーランス・ワーカーだ。

ウーバー、つまり企業側にしてみれば、ドライバーを雇用するための人件費を節約できる一方で、彼らが社員でない以上は、会社の思い通りに動かすことはできない。

しかし、いくらフリーランスだからと言って、「働きたいときだけ働く」という気ままな労務スタイルの運転手ばかりでは、増え続ける客に対応できるはずがない。つまりビジネスが頭打ちになってしまう。いや、そもそも同社の事業が成立しないだろう。

 

そこでウーバーは「会社からの命令」という形をとらずに、ドライバーを自在にコントロールする心理的テクニックを開発することにした。そのために同社が採用したのが、数百人に上る社会科学者やデータ・サイエンティストたちだ。

彼らはフリーランスで働くドライバーの心理を研究し、そこに行動科学やゲーミフィケーションなど様々な分野の研究成果を適用することによって、運転手の労働生産性やモチベーションを高めようとした。

たとえばウーバーの運転手達が日頃、最も嫌がっていることは、仕事時間中に客がなかなか見つからず、結果的に長い空き時間ができてしまうことだ(これはドライバーに限らず、フリーランスの労働者全般について言える)。

そこでウーバーは「forward dispatch(事前割り当て)」という機能を運転手用のスマホ・アプリに追加した。

この機能では、ドライバーが現在の仕事を終える前に、次の仕事を画面上に提示し、(ドライバーの了承を得た上で)その仕事を割り当てるので、(彼らの嫌がる)何もしない空き時間がなくなる。

これはウーバー側にとっても望ましいことだ。なぜなら、ある客がアプリでウーバー車を呼ぼうとした際、この客が今いる場所から15分離れた場所にいるドライバーの代わりに、2分以内の場所にいて、もうすぐ現在の仕事を終えそうなドライバーを割り当てることが可能になるからだ。

つまり客を待たせる時間が短くなるので、ウーバーの評価も上がる。

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