〔PHOTO〕gettyimages
不正・事件・犯罪
ついに検察の「森友学園・国策捜査」がはじまる
安倍政権に立てつくものへの見せしめか

なぜ告発状は受理されたのか

「検察は、国民の期待に応えて数々の疑惑を解明してほしい。そういう思いから森友学園問題を刑事告発した。最近、検察の事件対応にはがっかりさせられることが多いが、今回はやってくれると思う」

こう語るのは、政治経済誌『日本タイムス』発行人の川上道大氏(69)である。

川上氏は、3月14日、森友学園の「瑞穂の國記念小學院」建設にあたり、木を多く使うことで得られる補助金を国土交通省に申請した際、建設費を水増ししたとして補助金適正化法違反で大阪地検に刑事告発した。

大阪地検の動きは早かった。29日午後、大阪地検から川上氏のもとに「(補助金適正化法違反についての)告発を受理した」という連絡が入り、同日、いっせいにマスメディアが報じた。

川上氏は、今回の告発前の3月3日、森友学園の籠池泰典・諄子前理事長夫妻を、鴻池祥肇元防衛相に対する「贈賄申し込み罪」で刑事告発している。しかし、鴻池氏が渡された封筒の中身を確認しておらず、立件が難しいのか受理されていない。

今回の告発にしても、捜査は容易ではない。工事契約書が3種類存在し、水増しした契約書で国交省から不正に約5600万円を入金させたというのだが、28日までに森友学園は補助金を全額返還しており、起訴のハードルは上がった。

なのに、なぜ受理したのか。

 

元検事の郷原信郎弁護士は、自信のブログ「郷原信郎が斬る」のなかで「籠池氏『告発』をめぐる“二つの重大な謎”」(3月30日付)と題し、受理に至る理由を推測している。

「大阪地検の現場の動きではなく、何らかの意図があって、東京側主導で、『籠池氏の告発受理』が、大々的に報道されることになったようだ」

実際、拙速に過ぎる。

鴻池夫妻には、水増しとは逆に、工事代金を減額した契約書を大阪府に提出、経営状況を良く見せて設置認可を得やすくしようした偽計業務妨害、塚本幼稚園に対して支給された経常費補助金の不正受給に伴う詐欺容疑、など数々の疑惑がある。

こちらの被害者は大阪府と大阪市で、3月31日、両者はいっせいに森友学園傘下の幼稚園や保育園に立ち入り調査を実施した。「違法行為があれば刑事告訴する」と、松井一郎大阪府知事が明言している。従って検察は、公的機関の告発を待てばよかった。

確かに『日本タイムス』の川上氏は豊富な取材経験を持つが、今回、当事者ではなく一市民の立場で告発している。怒りは強いが証拠類の提示はなく、告発の弱さは否めなかった。「受理を公表するのに意味があった」という観測が成り立つのも無理はなく、そこから導き出される結論は次のようなものだ。

安倍晋三政権(官邸)と大阪府と財務省(霞が関)に対してケンカを売った籠池夫妻に対する国策捜査が始まった――。