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不正・事件・犯罪 ライフ 週刊現代
「マンション管理費横領」が全国で続発!7億使い込んだ理事長も
面倒くさいと、任せきりにしていると…

面倒くさいし、かかわりたくない――。そう思って丸投げしていたら、とんでもないしっぺ返しを食らうかもしれない。目の前の現金の誘惑に負けるマンションの管理責任者は、どんどん増えている。

10年以上気づかなかった

「『通帳を見せてくれ』とみんなで迫ったら、彼女は泣きながらその場で土下座したんです」

こう語るのは埼玉県東部のベッドタウンにある築34年のマンションで理事を務めるA氏(60代・男性)だ。

部屋数は全部で70戸程度。所有者が引き払い、賃貸に出している部屋も少なくない。
そして、長らく管理組合の会計責任者を務めていたのが、50代の女性だった。

「彼女は会社員時代に経理部にいて数字に強く、住民からの信頼も厚かった。みんな忙しさにかまけて彼女に10年以上会計を任せっきりにしていた。

ただ、最近はちょっとした修繕を頼んでも『もっと大規模な修理のためのお金ですから』となかなか取り合ってくれない。あまりに頑ななので、昨年の7月の理事会で詰め寄ったんです」(A氏)

果たして、彼女が差し出した通帳の残高はわずか20万円ほど。女性は数千万円を着服し、自身のカードローンの返済に当てていた。

「同居する息子さんが高級車に乗って、本人もブランド物の服を着て、ずいぶん羽振りが良いな、と思っていたんですが、私達がコツコツ貯めた修繕積立金で買っていたものだと思うと腸が煮えくり返る。『任せっぱなしにしていたのが悪い』と言われれば、その通りなんですが……」(A氏)

このマンションでは昨年行われるはずだった大規模な全面改修がすべて白紙に。屋上の受水槽の故障にも対応できず、頻繁に断水が起きた。

「急遽、全住民に分担金を募って水回りはなんとか修繕しましたが、築30年以上が経ち、いつどこが壊れてもおかしくない。修繕積立の金額が2倍に増えたので、老後の計画まで狂った」(A氏)

 

管理費や修繕積立金を理事長や会計責任者が横領、着服する事件がいま、全国で頻発し、注目を集めている。

なかでも金額の巨大さゆえに大きくクローズアップされたのが、新潟・越後湯沢にあるスキーリゾートマンションで起きた事件だ。

「新潟のマンション理事長・管理費11億円を着服か」――。新聞各紙にこんな見出しが躍ったのは'15年11月のこと。

JR越後湯沢駅からタクシーで数分走ると見えてくる、築25年の全549戸。共用部分には大浴場があり、近くの源泉から温泉水が運ばれてくる。バブル期に計画されたリゾートマンションだけあり、機能や設備はまさにホテル並みだ。

だが、所有者の大半がスキーシーズンしか使わず、管理は任せきりだったことが仇になった。

7億円横領した理事長

住人のB氏が言う。

「'14年7月の理事会で、理事の一人が、減価償却費が異様に高い理由を理事長に尋ねたんです。そしたら言葉を濁すので『とりあえず通帳を持って来い』という話になった。でも、理事長は毎回あれこれ理由をつけて理事会に通帳を持って来ようとせず、逃げ回った」

このマンションの決算は11月。間際まで逃げ続けた理事長は、弁護士をしている他の理事の前で、声を絞り出すようにして言った。

「みんな使ってしまいました……」

理事会は蜂の巣を突いたような騒ぎになった。

「もちろん決算報告は延期にして、大急ぎで過去の会計までさかのぼり精査しました。横領されていたのは約11億円ですが、4億円ぐらいは返金されたので、実質的な被害額は約7億円。

株の運用やFXでお金を増やして、あとでこっそり戻そうとしたけれど、リーマンショックのあおりを受けて運用が失敗し、みんな溶かしてしまったということでした」(B氏)

発覚時の通帳の残高は、わずか560万円。

「結局、すぐに修理が必要だった外壁の修繕を2年以上先送りにしたり、マンション運営に大きな支障が出た」(B氏)