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ガラパゴス化する日本のシェアビジネスで「一人勝ち」のサービスとは
AirbnbもUberも苦戦中だが…
加谷 珪一 プロフィール

カーシェアリングは急成長中

では、日本ではシェアリング・エコノミーそのものが成立しないのかというと、そうではなさそうだ。既得権益との争いが少ない分野では逆にサービスが急拡大しつつあり、その代表例と目されるのがカーシェアリングである。

カーシェアリングの業界では、時間貸し駐車場「タイムズ」を運営するパーク24が注目を集めている。同社が提供するカーシェアリング・サービス「タイムズカープラス」は、すでに1万6000台の車両を保有し、事業として十分な収益を上げるまでに成長している。

現在、タイムズの駐車場は全国に約1万5000ヵ所あり、53万台の駐車が可能となっているが、タイムズカープラスは約8500ヵ所でサービスを提供している。つまりタイムズの駐車場の半分ですでにカーシェアのサービスが受けられるのだ。

カーシェアリングは、あらかじめ登録した利用者が時間単位でクルマを利用できるサービスで、不特定多数を想定したレンタカーとは考え方が異なっている。

レンタカーの場合には、借りる際にその都度営業所で手続きが必要だが、カーシェアの場合にはスマホであらかじめ予約しておけば、そのままクルマに乗ることができる。しかも多くの場合、ガソリンを満タンにして返す必要がない。

利用ごとの車内清掃はないので、レンタカーよりもサービスの質は落ちるが、何より気軽に乗れるので、利用者からの評判は上々だ。価格もレンタカーより安めに設定されており、経済的にもメリットがある。

本来であればレンタカーと競合する可能性があり、エアビーやウーバーと同様、大きな問題となりそうだが、今のところ目立った対立は起こっていない。

日本の場合、米国との人口比を考えるとレンタカー市場が相対的に小さく、メーカー系列の影響力が大きいことや、レンタカー企業がカーシェアに進出していることもあり、業界としてあまり警戒感を持っていないようだ。

このままいくと、レンタカーというサービスは徐々に縮小し、日本型のカーシェア・サービスがメジャーな存在になるという展開も十分に考えられる。

都市型カーシェアリングのインフラは、EV(電気自動車)が普及した際には充電ステーションとして活用できる可能性が高い。自動運転車が普及した場合には、自動運転サービスのプラットフォームとしても展開できる。その意味でパーク24は非常に重要な立ち位置にある。

場合によっては異業種との資本提携といった大胆なシナリオも十分にあり得るだろう。あくまで筆者の想像だが、同社がトヨタのような自動車メーカーと提携し、ハイヤー代わりに使える自動運転車のカーシェアリング・サービスに乗り出す可能性は十分にある。

さらには、楽天といったネット企業と提携することで、「楽びん」など各種デリバリー・サービスの基本インフラとして同社のサービスが活用されるかもしれない。楽びんでお弁当のデリバリーを頼むと、タイムズの自動運転車が料理を運んでくるというのはあながち非現実的な話ではない。

これまでの状況を見ると、日本においてシェアリング・エコノミーが普及するためには、既得権益と大きく衝突しないことがポイントとなりそうだ。シェアリング・エコノミーの分野においても、日本は結局のところ、ガラパゴス型の市場展開となるのだろうか。